厚労省は今年4月27日、ホームレス実態調査で平均月収が5年前の10分の1(=約4000円)に落ち込んでいると発表した。
ホームレスが収入を得る手段は廃品回収や日雇い建設作業などだが、約1300人のホームレスを対象に個別面接を行ったという精度の高いこの統計を信じれば、この低収入でも成り立つ底辺の暮らしに慣れてしまっていることは否めない。
それは、食事の配給に依存していれば、とりあえず死なずにいられるという程度の満足度なのだ。ただでさえ冬は凍死、夏は若者からの襲撃などのリスクがある彼らは、やがて体力も奪われ、無縁仏になる。
他方、精神障碍者の場合。精神科医は容易に生活保護の受給を勧めるため、一人で部屋の中で孤立化したまま、毎日何もしないでいると将来への不安が増大し、セルフコントロールができないまま、処方薬のオーバードーズ(※処方以上に飲んでしまう悪習慣)が依存症化する頃には入院を勧められ、社会復帰の希望を抱けないまま、自力では辞められないオーバードーズ依存症の果てに心肺機能が疲弊し、遅かれ早かれ突然の心発作で死んでしまう。
最近、ごく一部の精神科医たちの間で薬を使わずに治す試みが盛んに進められているが、社会復帰するためには患者の体力増強に伴走したり、日常的に職業意欲アップに随伴できるパートナーが必要不可欠になる。
さて、日比谷線の神谷町駅近くのマンションのワンルームに、相場の半額程度に安い料金のネイルサロンがある。
株式会社Arusha(東京・港区)が運営する同店には、母国で暮らせず日本へ難民として入国した女性たちが働いている。
同社の代表取締役・岩瀬香奈子さんが2010年5月から開業している店だ。
「難民の多くは日本語の読み書きもできず、フリガナを全部ふっても難しいため、昔は土木建築や皿洗い、掃除などの仕事をしていた。でも、機械が入ったり、日本人どうしでも仕事を取り合う時代になった。多くはアルバイトで生計を立てていたので、仕事もなくなり、日本語もおぼつかなくて精神病になっている人さえいる。職業技術の不足から正社員として働いている難民はほとんどいない」(岩瀬氏)
岩瀬氏は、自らネイルスクールに通い、知識と技術を身につけた。
そして、難民支援のNPOなどに声をかけ、無料のネイル研修を受けたい人を集め、彼らにネイル施術のスキルを無料で教え、ネイルサロンを開業したのだった。
(10月13日に行われた「社会起業家・養成ゼミ TOKYO」第2回で講義するArusha代表・岩瀬香奈子さん) 日本語が上手でない難民を自立させる方法は、ホームレスやニート、障碍者や高齢者、傷病者などに職業技術を身につけてもらう際にも応用できる。
まず、支援者が、利益率の良いビジネスの技術を学ぶ。
それを無料で失業者に教える。
そして、歩合制で仕事をしてもらい、独立できる頃合になった人には、支援者と同じようにビジネスの技術を教え、独立させ、店を増やしていく。
こうすれば、確実に1人を教えることが、新たな1人を自立へ向かわせ、その輪がどんどん広がっていく。
こうしたことが、従来の社会的弱者絵の支援になかったイノベーションなのだ。
このように、一見、自分の関心事から遠いように見える社会問題も、自分の関心事の社会問題と、解決手法という点ではつながっている。
だからこそ、自分にとって興味がないと思われる社会問題を解決しようとしている人と出会い、学び、解決の方法を共有することから、それまで無理だと思われていた深刻で切実な社会問題の解決を進めることができるのだ。
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