社会起業(ソーシャルビジネス)におけるマーケティングは、通常のビジネス・マーケティングでは追いつかないところがある。
それは、問題に苦しむ当事者との関係をかなり密にしないと、当事者ニーズの精度を高められないという点だ。
たとえば、ホームレス支援なら、ホームレスのおっちゃんたちと日常的に付き合ってないと、「ポロリの本音」の中から原石のようなニーズを聞き出すことはできないだろう。
つまり、ホームレス自身のニーズを的確に把握しようと思ったら、アンケート調査とかインターネット・マーケティングだけでは足りないってこと。
そもそも、当事者への質問を作る前にホームレスのおっちゃんとの信頼関係をどれだけ深かめられるかという課題の解決が前提となるわけだ。
「顧客との信頼関係の精度=マーケティングの精度」という基本を作るまでに、多くの経験とヒアリングが先立つのだ。
それには、相応の手間と時間とお金がかかる。
社会的弱者とよばれる人たちと「人間関係」を構築するのだから、当然の話だ。

(※大阪・釜ヶ崎でホームレスのおっちゃんと寝食を共にして作った
ドキュメンタリー映画のワンシーン)
だから、解決の精度の高いホームレス支援は、ほんの一部にしかない。
たぶん、あなたが知ってる有名な支援活動団体でも、思ったほど成果を上げてないところもあるだろう。
「飢えたら死んでしまうから食事を無料で配給します」という支援活動のままだと、「もっと速く走れる馬を売ってくれ」という顧客の言葉を鵜呑みにしたまま自動車を開発できないでいた昔の時代に逆戻りだ。
誰でも恥ずかしいことを初対面の人にうち明けるようなことはしない。
それは、ホームレスのおっちゃんだって同じだ。
そのように、誰にも当てはまるルールをいくらでも思いつける人なら、世捨て人のように思われているホームレスのおっちゃんの中にも、自分の個人的尊厳は譲らないからこそ、汚いダンボールハウスでも生きようとしていることにピンと来るはずだ。
ニートでも、メンヘラでも、シングルファーザーでも、共働き夫婦でも、難病の人でも、障がいを持つ方でも、自力では解決できない苦しみを抱えている問題の当事者たちがそれぞれ自分自身の「個人的尊厳」を大事にしていると気づけば、ソーシャルビジネスのマーケティングが一筋縄ではいかないことにも思い当たるだろう。
個人尊厳を大事に考える「当事者性」という概念こそが、この時代のキーワードなのだ。
専門家がタコツボな知識と経験の中で自己満足してしまったために、当事者ニーズを満たせなくなっている今、当事者自身が自分の問題やハンデを価値に換える方法を知れば、それまでの苦しみはお金や人々からの賞賛、働き甲斐に変えていくことができる。
そういうことを、僕の主宰するゼミでは最も大事にする。
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