7月26日(土)の午後に、
リバ邸×今一生 「自分の仕事」を作る1dayワークショップを開催した。
これは、仕事を自分で作り出したことの無い初心者向けに、個人として自分の仕事を始める「自営業」のスタートアップを学ぼうというものだ。
事後報告ふうに記録しておこう。
(渋谷のシェアハウス「リバ邸」の共有リビング内で行われたようす。みんな真剣だ) まず、このワークショップは、ネットで予約すると、自分史年表を前もって書くように求められる。
どう書けばいいのかについては、事前に送られたサンプルの年表を参考にしながら、ボリューム制限なしで書く。
これは、学歴や職歴だけを記入する履歴書とは違い、自分が人生で喜怒哀楽を感じたことを「事件」として扱い、その事件によって自分の人生がどう方向付けられてきたのかを振り返るために、時系列で歴史年表のように記述するものだ。
会場では初対面の人とペアを組み、参加者どうしで交換し、相手の自分史の中から自分が「面白い」と素直に思える部分を指摘する。
自分にとっては「恥ずかしい」とか「失敗だ」と思えるような経験も、他人から見れば「こんな苦労を乗り越えて今日まで生きてきたのか」という驚きと尊敬の対象になる。
それが「面白い」という表現として伝えられ、自分に対するネガティブな評価が自分以外の誰かにとっては必ずしもネガティブな評価だけに収まるものではない豊かさを持つことであること気づくチャンスになる。
自分にとって当たり前すぎて平凡だと感じてきた経験も、他人から見れば「私にはとてもできない貴重な経験」に映る。
実はそうした「固有の経験」こそが、その人にしか持ちえない価値なのだ。
自分にしかもってない「固有の価値」に気付くことは、自分にしか売れない商品・サービスを作り出すためのスタートラインだ。
マイノリティ(少数派)として学生時代にいじめらたり、勤務先の会社でも「変な人」と軽侮されるような経験・属性の中にこそ、その人自身が蓄積してきた「見えない資産」は眠っているからだ。
それゆえ、「面白い」と相手から思われたことに対して質問に答えていけば、「他人は自分のどの部分に関心を示すのか」と理解できる。
これは、自分の人生経験のどの部分が顧客に価値として認識されるのかを知るためのやりとりだ。
もっとも、この時間はせいぜい15分程度。
大事なのは、自分史年表に対して自分だけ評価せず、まったくの初対面の人に評価してもらうチャンスを作ることが、やがて自分の商品・サービスを買うことになる顧客(=初対面の相手)に対する関心を育むきっかけになるということなのだ。
仕事とは、価値をもっていない人から価値を持っている人へお金が流れることをいう。
たとえば、うつ病という経験をもっている人は、そんな経験をしたことがない人にとって価値がある。
うつ病の家族を持つ、うつ病ではない人にとって、うつ病で何に困っているのかを客観的に把握する際、当事者の家族にはなかなか聞けない。
そこで、誰か家族ではない当事者が「こうなんですよ」と教えてくれることは、ありがたい。
医学書や医者による説明ではわからないことが、具体的な事例を元にわかりやすく説明してくれるため、当事者に対する理解が速く的確に進むからだ。
もちろん、うつ病によって具体的に困っていることがあるなら、その困りごとを解決できるサービスのあり方を考えられるのも、うつ病を経験した当事者固有の特権である。
うつ病のままでも困らないサービスにはいろいろあるが、たとえば在宅のままでも収入を作れるサービスや、家族から離れて過ごしたい時に気軽に利用できるスポットを提供するサービス、気分がどうしても落ち込んでしまいそうな時に仕事や雑務をいつでも肩代わりしてくれる人を紹介してくれるサービスなど、困りごとが具体的にあるからこそ、ほしいサービス(商品)の姿もはっきりとわかるのだ。
求める「解決の姿」が明確に設定できれば、あとはそれを実現する仕組みを作り出すことが必要になる。
しかし、この3時間のワークショップでは、あえてその仕組みは掘り下げない。
むしろ、それは持ち帰って考えてもらう宿題(=解決の姿の先にある課題)とする。
個別の事情に照らして精度の高い助言をするには、このワークショップが少人数制で1回の参加者が10人枠でも時間が足りないということもある。
でも、それ以上に、自分史年表を知らない誰かに見せることのハードルを、初対面の人にいきなり見せてしまう体験によって、一瞬で下げてしまう効果が大事で、それによって他の誰かにも自分史年表を見てもらう機会を増やしてほしいという願いがある。
なるだけ多くの人に自分の履歴を知ってもらうことは、自分の価値の大きさを確かめることになり、自分が発案する商品・サービスに対する自信にもつながっていくからだ。
解決の姿を、解決できる仕組みとして商品・サービスの形にしていく作業には、現時点で自分が自分の仕事をどこまで現実的に考えられているかを自覚する必要がある。
そこで次に取り組むのは、「自分を知るための50問テスト」だ。
これは自分の仕事を作る上で現況になるだけ正確に関する50問に50分で答えるもので、その場でプリントが配られる。
50分間で50問を答えるのだから、1問に平均1分間しか使えない。
つまり、じっくり考えるというよりは、すぐに迷わずに答えられるものを書かないと、制限時間内に終わらないのだ。
実際に仕事を進める上でも、ゆっくり思い出して何かをするということはない。
ふだん自分が考えている範囲の中で、ハッキリしている事柄から手をつけるはずだ。
だから、わからないことは「今すぐにわからない」と瞬時に答えることを後回しにし、答えやすいものから記入していくしかない。
仕事は制限時間内に目標金額の売上を達成しないと持続可能にならないので、なるだけ答えやすいものから先に答え、答えがはっきりしないものは後回しにするという条件反射をつけていく必要がある。
これは高校受験でも学んだことだが、問題は最初の質問から順序良く答える必要はなく、時間を上手に余らせていく要領が求められる。
それは、実際の仕事の実務でも同じことだし、商品・サービスを考える際にも〆切が必要であり、この〆切りを自分で設定する習慣が大事になることを示している。
もっとも、こうしたテストの意図は事前事後にも説明されない。
その代わり、テスト終了後、10分間の休憩を経て、他の参加者たちの答案をざっと見る時間を設けた。
他の人の答案を見ることで、仕事を作り出すために自分に何が必要かに自ら気づく機会とした。
ある人は自分の仕事して具体的にどんな商品・サービスを考えているのかまで明らかにしていれば、べつの人は仕事を始める前に準備するための作業がたくさんあることに気づかされた。
あるいは、他の参加者たちの答案を見て、自分らしい仕事を作り出す意欲そのものを刺激された参加者もいた。
ワークショップでは、ここまでで早くも100分間が経ってしまう。
では、残り80分間では、何をしたのか?
主に、自分で書いた自分史年表と50問テストをふまえて、現時点での課題に気づいた参加者からの質問に、講師役の不肖・
今一生が答えた。
ワークショップの場は、ここから何かが始まる「出会い」なのだ。
その価値を少ない時間でも質問という形で活かしたいかどうかによって、仕事を作り出す覚悟の程度が見える。
しかし、これでワークショップがすべて終わったわけではない。
今回だけは、
Skypeによる個別相談を1万円分(45分間)を無料で受けられることを、参加者特典としてつけたのだ。
この無料相談に応じることで、3時間では満たせなかった個別の自分史年表をふまえた助言ができる。
(※ただし、2014年末まで。7・26の参加者は相談希望の候補日を
メールされたし)
自分が何に困っているかさえ自覚していれば、それを解決する仕組みを一緒に考え、その仕組みを商品・サービスという形にするところまで相談できる。
このようなワークショップは今後も開催するかもしれないが、個別相談の無料化という参加者特典はつかない。
特典をつけるにしても、90分(1万8000円)の個別相談を半額で受けられるものになる。
ワークショップの参加費は、一般6000円/リバ邸住人3000円のままだろう。
飲み会を1,2回キャンセルしただけで、今より一歩、自分の満足できる仕事に近づく。
(※次回開催する際は、内容も高校生にもわかりやすいものへ洗練させてみたい)
いずれにせよ、何かに困っていることがあれば、それを解決する仕組みはいろいろあり、そこに拙著やオンライン記事などで日々書いているソーシャルデザインやソーシャルビジネスの実例が活かされる。
困っていることは、それ自体があなたの資産なのだ。
それに気づいた時、これまで世の中になかった、自分らしい仕事は作り出せる。
今後の開催を望まれる方は、下記の主催者までメールで打診されたし。
livertyhouse.info@gmail.com(リバ邸・松井)
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