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■風俗も今後、ソーシャルビジネスの1分野に ~次世代の性サービスを考えよう!


 日本の風俗には、さまざまな問題点がある。
 最近、女性の貧困化とセットで語られがちだが、それ以前から解決されないままの課題が山積しているのだ。

 何よりも、現状の風俗は社会的に風当たりの強い仕事だ。

 家族や恋人、友人など大事な人間関係にも自分の仕事を誇れないままだと、長続きもできなければ、セカンドキャリアにつなげる道も狭すぎるままになる。

 風俗(※ここでは女性との性行為を男性が買うものに限定)を作り変えることも、今後はソーシャルビジネスの1分野になるかもしれない。

 労働者・経営者・消費者の3者全員に問題のある現状のまま、グレーゾーンとして放置されている風俗を、グレーゾーンのままバージョンアップしていける可能性は、ここではあえて度外視し、社会に受け入れられやすい風俗のあり方を考えてみたい。

 現状では、風俗を一度も利用したことのない一般人には、よくわからないことが多すぎる業界の一つだ。

 そのわからなさも、さまざまなトラブルを呼ぶことから、社会的課題の一つと言えるが、一般的な仕事に比べて離職や勤務先の移転などが頻繁すぎるのかもしれない。

 それゆえに業界内での自浄作用には限界があるし、サービス向上の努力を経営者は考えず、消費者のニーズに見合わないサービスのままだったり、顧客満足度も頭打ちしてしまうジリ貧の構図もある。

 しかし、問題の多いところほど改善できる余地が大きく、それはビジネスチャンスが潜在的に大きいと見込める分野ともいえる。

 TENGAの世界的な成功を見れば、デザインや使い勝手、イメージ戦略や販売チャンネルの開拓など、性に関する商品・サービスには、課題をきちんと解決できればビッグビジネスに発展するポテンシャルがあるといえる。

 もっとも、こんなことを書いてるのは、風俗をもっと派手に儲かるようにしたいからではない。

 風俗業界の当事者である労働者・経営者・消費者の3者が満足できる新しい未来があるとしたら、新たなサービスや事業運営の仕組み、社会に歓迎されるあり方などを作り出す必要があり、そこには必ず市場分析と社会からのまなざしがつきまとうことを指摘しておきたいのだ。

 従来の商品・サービスを変えていくには、何よりも消費者が現状の商品・サービスに対して何を切実な不満として持っているのかを的確に把握することだ。

 その不満を無理なく解決できる仕組みを作り出すのが、最優先課題になる。

 次に、風俗に行きたいのに、さまざまな事情をもっているために行けない人たちの課題を解決する仕組みを作り出すこと。

 若い世代ほど風俗離れになるのは、なぜか?
 障がい者を歓迎するようなバリアフリーデザインにしないのはなぜか?
 中高年以上の客は、本当に若い客と同じ性サービスを求めているのか?

 他にも、労働者の意識の問題や、経営者の志の問題もある。

 風俗には、他業界で盛んに試みられているソーシャルビジネス(※社会的課題の解決ビジネスのこと。ITのことではない)の成功事例に学ぶ必要が出てくるだろう。

 たとえば、福祉作業所で働くと月収1万円程度だった障がい者も、福祉起業家の会社では月収10万円以上になりうる。
 問題に満ちあふれた世界も、ビジネスの仕組みを根本的に疑うことから少しずつ変えていけるのだ。

 うろ覚えだが、かつて小室直樹先生は、富士の裾野あたりに完全合法の風俗を作って労働者を公務員として雇えばいいという提言をされたことがあった。

 待遇を公務員にすることは社会的地位の向上としてはアリだが、政治家にそれを実現させる知恵は無いだろう。
 ただ、国内1ヶ所で売春を完全合法化すれば、他の民間事業者は食うために業態改善を余儀なくされるのは必至。

 しかも、その土地へ消費者が殺到するため、地域活性には莫大な効果があるだろう。
 どんなビジネスもそうだが、地域にメリットをもたらされる仕組みがあれば、地域市民に歓迎されやすい。

 ギャンブル合法化でギャンブル依存症を増やして病人や生活破綻者を増やすより、法的にも衛生的にも健全な性風俗があるほうが、よっぽど税金の使い方として正しい気がする。

 もっとも、小室先生のアイデアは、それだけ社会に受け入れられる風俗のあり方に変える必要が大きいことを示している。

 では、なぜ風俗は、社会に必要なのか?
 その価値を誰もが支持できるだけの文脈が明確に示される必要がある。

 今日の消費者にとって、風俗に期待されていることは何なのか?
 それを明確にしない限り、風俗の価値はいつまでもグレーゾーンのままである。

 次に、労働者の問題として、性サービスが特殊な肉体労働であることに目を向けたい。

 風俗は、そのサービスゆえにスポーツ選手と同じように、多くが40代を待たずに引退していく。

 プロ・スポーツなら、名実共に実績のある選手には所属チームや広告代理店がバックアップし、本業の試合以外の収入源を増やしている。

 サッカーや野球を見れば、選手を外のクラブにトレードして年収を急激にアップできるチャンスもある。
 交渉にはマネージャーが付き、ビジネスがわからない選手の交渉を肩代わりすることもある。

 「この選手は●月●日までしかこのチームにいない」という期間限定だからこそ、その選手の試合には人が集まるし、選手にちなんだグッズも売れる。

 海外のチームに行けば、ファン層も増え、グッズの消費者も増える。
 肖像権を持つ選手の収入はどーんとアップする。
(※グッズメーカーや撮影したカメラマンなど、商品開発に携わる人の収益も増える)

 そうしたビジネスを成立させているのは、選手寿命や人気寿命が短いからだ。
 選手の人が旬の時に、選手の価値をなるだけ高く売るだけの仕組みを、スポーツビジネスでは豊かに増やしてきた。

 風俗がそうしたスポーツビジネスを応用させて高収益を得ようと思えば、風俗サービスが社会的に歓迎されるだけの仕組みを持つ必要がある。

 人に誇れる仕事内容として働く女性に支持される性風俗店に変えられるなら、資金不足で練習できないスポーツ選手がヌード写真集を出版して資金調達する方法に習って、クラウドファンディングに挑戦して店を作ってみるのもいいかもしれない。

 こうした挑戦は、従来の風俗経営者には絶対に出来ないことだ。
 むしろ、働く女性の環境を良く知る女性起業家が実現する可能性が高いだろう。

 そもそも、風俗嬢は何を求めて風俗の仕事に就いたのか?
 そのニーズを把握すれば、働きながらその女性の求めるものを満たしていけるといいのかもしれない。

 もし、本当に貧困ゆえに女性が風俗で働きたいのだとしたら、同じ期間に同じ額面の収益を得られる他の職種のキャリアを支援する仕組みを作ってあげれば、安心して早めに風俗を引退することができるだろう。

 もし、本当に性サービスを天職に考え、自他共に名前と顔を出して風俗嬢をやりたい女性がいれば、その実績を正当に評価してスポーツ選手並に限定期間内にさらに高い収入を得られる仕組みを作り出す必要もあるだろう。

 そうなれば、従来の派遣登録ではなく、従業員として安定した月給や福利厚生などを約束できる仕組みか、ワーカーズコープのように労働者=経営者(※働く人すべてが経営者として責任を負う代わりに、事業運営にものを言う権利をもてる)という「協働経営」の仕組みを作る必要が出てくるだろう。

 そして、同時に消費者を「新しい風俗を作る一員」として引き入れる仕組みも必要になる。

 これまで風俗では、客の匿名性が担保されていた。

 しかし、風俗を社会的に容認されるサービス内容に変えられるなら、客は免許証のような写真付きの身分証を提示するだけで半額になるような割引も可能になる。

 いずれにせよ、風俗が社会に受け入れるようになるには、性サービス自体で収益を得るという伝統を歓迎的に受け入れられるだけの空気を国内に醸成するか、性サービスそのもので収益を得なくても済む(=性サービス以外で収益が得られる)仕組みを作るかのどっちかではないだろうか?

 僕自身は、風俗の性サービス部分はいっそ無料で提供できる仕組みにしてもいいと考える。
 それは、労働の対価を不要にしたいのではなく、あくまでも社会に容認されるあり方を優先する方が変化への早道だと考えるからだ。

 サービスに使う水道代・電気代・ローション代・スペース代(ホテル代)などの実費のみ購入してもらうだけで、行為自体は無料にし、フリーミアムによって共感者が増えた先にはマネタイズできる仕組みを作り出せる余地もあるはずだ。

 性行為によって収益を得ているわけではないことを証明するために、財務(収支)を公開してみせるといい。
 もちろん、働く人には、その人を雇う会社もしくはワーカーズ・コープの事業体がお金を払える仕組みを作ればいい。

 もちろん、それは従来の風俗ではなく、あくまでも社会的に容認可能な性サービスの仕組みを出せたらの話だ。
 障がい者向けに性的介護サービスを実践しているホワイトハンズの例を見れば、不可能ではないはず。

 経営者自身が社会に受け入れられる性サービス産業を生み出した時、日本の風俗は世界に輸出できる新産業にもなりうるし、非合法組織へ資金が流れることも抑制できる。

 そのためには、ホワイトハンズが福祉の視点から出発し、やがては誰もが享受可能な「新しい性の公共」の成立を目指していることは注目に値する。

 風俗の何を変えたいのか?

 その問題設定が、労働者・消費者・経営者の3者を同時に満たす仕組みを成立させる時、風俗は劇的にその姿を変えるだろう。



 つづきは、こちらの記事で。

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