都知事選について、一部報道では、自民党らが支持するマスゾエ氏の優位が伝えられている。
そして、
これを裏付ける推計を書いて嘆いているブロガーもいる。
首都・東京は、小さな国の大統領に匹敵する予算と権限を持っている。
だから、これを直接選挙で投票できるチャンスに関心が集まるのも当然と言えば、当然だ。
しかし、脱原発を掲げる細川氏と宇都宮氏は候補者の1本化ができず、脱原発支持者と無党派層の票割れによって、結果的にマスゾエ氏を漁夫の利として勝たせてしまう恐れが濃厚になりつつある。
そこで、脱原発を支持し、実現しようと思えば、タモガミ氏ほかの泡沫候補や無党派層、そしてこれまで一度も選挙に行ったことがない(=投票したことがない)人たちの票を、細川氏に集めるほかに無い。
被曝した南相馬市の市長が、なぜ宇都宮氏ではなく、細川氏を支持しているのか、その声を聞いてみて欲しい。
政治家は、その人柄や過去の経歴で評価されるのではなく、どんな政策によってどういう「より良い社会」を実現できたかという結果でしか評価できない仕事である。
しかし、その当たり前の評価基準が日本では根付いていない。
そのため、「クリーンな人柄」というイメージに飛びつきやすい。
こんなイメージ先行型で候補者を支持するのでは、民主主義自体が根付かない。
南相馬市の市長が細川氏を支持するのも、脱原発で勝てる候補は細川氏しか見込めないからだろう。
脱原発を本気で実現したいなら、本当に申し訳ないが、宇都宮氏では無理なのだ。
宇都宮氏の人格や政策がどんなに良いものであろうとも、残念ながら現実の選挙戦では「マスゾエ氏VS細川氏」の構図になる。
僕は宇都宮氏の政策の中で、彼しか提案してないソーシャルビジネスへの支援を高く評価している1人だ。
しかし、共産党が支持する立候補者が、勝てるだけの得票を獲得した例は、
過去に1度もない。
産経新聞は、以下のように世論調査を分析している。
「原発・エネルギー問題」を挙げた都民の半数近くは元首相の細川護煕(もりひろ)氏(76)を支持しており、同じ「脱原発」を掲げる元日弁連会長の宇都宮健児氏(67)は舛添氏の支持より下回っていた。脱原発系候補としては細川氏が認知されているといえそうだ。(2014年1月25日付) では、今回の選挙なら宇都宮氏が勝てるだけの根拠があるのかといえば、これも無い。
むしろ、支持基盤が一枚岩でなくなっていることが不安材料に上がっている。
東京新聞の世論調査では、宇都宮氏の支持政党である共産党の支持者の中でも6割しか宇都宮氏を支持していないという(社民党に至っては4割しか宇都宮氏を支持していない)。
そこで非・自民系の票を集めるために、無党派層と「初めて選挙に行く人」(無関心層)を宇都宮氏が掘り起こせるのかといえば、これも非常に難しいといわざるを得ない。
なぜなら、無党派層と「初めて選挙に行く人」(無関心層)の中でも、共産党や宇都宮氏への支持者は少数派にすぎないからだ。
ちなみに、都民の中で有権者は約1080万人。
投票率が仮に前回の62%を越えて65%にまで上がったとしても、投票数は702万票。
自民らが支持するマスゾエ氏の得票は、軽く200万票以上にまで増えると予想されている。
これに続く
細川氏とは150万票差になるという推計をするブロガーもいる。
前回の都知事でも、宇都宮氏は、日本未来の党、共産、社民、緑の党、新社会党、東京・生活者ネットワーク支持などの支持基盤を持ちながら、得票数は
100万票に届かなかった。
同じ脱原発を掲げても、宇都宮氏は残念ながら「勝てない候補」なのだ。
この冷然たるデータを思えば、脱原発を進めたいなら、宇都宮氏が細川氏の軍門に下る他に無い。
それだけでも、マスゾエ氏に勝てるだけの得票ができるかどうか、微妙な情勢なのだ。
それでも足りない票は、無党派層と無関心層に訴えかけるしかない。
ところが、無党派層の
「六割強は支持を決めていないが、一割ほどが舛添氏を推した」と発表されている。
朝日新聞では、
「舛添氏は、支援を受ける自民支持層の7割を固めた。公明支持層にも広く浸透。無党派層からは4割の支持」と発表している。
となれば、無関心層に訴えかける他に無い。
無関心層は、投票率65%の場合、3%増になるので、32万人程度が見込める。
そのすべてが細川氏への支持に回れば、あとは宇都宮氏が降りるだけで「脱原発」の勝算が生まれることになる。
これは、細川氏の支持者たちが、自分の周囲の無関心層に声をかけ、大人数で一緒に投票するという「誘い合い」をすればこそ実現可能になる。
ちなみに、投票率を上げるという趣旨の「せんきょCAMP」という市民活動があるが、彼らは「あらかじめ政治や社会に関心がある人」向けのイベントしかやっていない。
「政治? はぁ、興味ないんですけど」「選挙? 行かないしぃ」という構えの人には他人事に思えてしまう活動内容では、劇的に投票率を上げることなんて不可能だ。
無関心な人に関心を持ってもらうには、投票行為がどういうものであれば選挙に行くのか、無関心層の各自にヒアリングし、そのニーズをつかんだ上で、ニーズに即した活動を展開するのが筋だろう。
立候補者の名前はなんとなく知っていて、支持したい人が細川氏なら、そういう無関心層に対して細川氏を支持する人は「一緒に投票しよう」と呼びかけていく必要がある。
それには、今すぐにでも無理なくできるアイデアを豊かに考え、実行してみることだろう。
●親族や友人、知人の中から20歳の若者を1人だけ探し、投票日に誘って前後にデートする
●一人では外出できない高齢者や障がい者などの無関心層にも声をかけ、一緒に投票する
●学生(あるいは社員)と一緒に列になって投票所に行く
●投票後には「細川氏に勝ってほしい飲み会」という名の合コンを計画する
●お店なら、細川氏に投票した仲間たちには1品無料で提供する
●
「舛添に投票する男とセックスしない女達の会」の会員になる
●
細川氏を応援する有名人のtwitterや公式サイトへ「私と一緒に投票に行こう!」というキャンペーンを張るようにお願いする
…などなど。
以上、宇都宮氏には冷たい内容を書いたが、僕は宇都宮氏が好きだ。
しかし、それ以上に「脱原発」を推し進めたい気持ちがある。
たとえ奇跡が起こって宇都宮氏が当選しても、左派の応援を受けた宇都宮氏は保守議員の多い現時点の都議会で孤立し、やりたかった政策も実現できない恐れが大いにある。
そうしたことも含めて、宇都宮氏には泣いていただくしかないようだ。
もし宇都宮氏が細川氏の陣営の下につき、「細川さんが当選の暁には弁護士経験を活かして支えます」と握手を求めたら「こんな男前な人はいない!」と多くの都民が賞賛するだろう。
そうすれば、既に長くは知事の座にいないと公言している細川都知事が2期目に入る頃、「宇都宮さん、よろしく」とバトンタッチされるチャンスも大きくなる。
そこで初めて宇都宮氏は、ぶっちぎりで当選する勝算が大きくなる(小泉・細川の両氏も応援するはず)。
都民のみなさん、宇都宮氏を活かすのは、今じゃないんだ。
もちろん、彼だけが提案している「
ソーシャルビジネスへの支援」は優れて進歩的なので、今後も関心を持っていくつもりだが、「勝てる見込みが無い」という現実を受け止められたら、投票日前に細川氏の支持に回って欲しい。
でないと、脱原発の支持派は大いに落胆することだろうから。
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