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■25歳の最年少でマザーズ上場した社長の「転職会議」を考えてみた(続)


 企業が人々を選ぶのではなく、人々が企業を選ぶ。

 そんな時代を作り出すためにリリースされたサイト「転職会議」は、転職のミスマッチを解消するために、その企業の近くにいる人たちから情報を集めた投稿サイトだ。

 この「転職会議」については、サービス改善のためのアイデアをこのブログ記事に書いた。
 まだ20代半ばの若い社長の若いベンチャーの挑戦は応援したいし、何よりも「人々が企業を選ぶ」という発想が素晴らしいからだ。

 これまで労働者の多くは、企業から一方的に査定される側だった。

 しかし、ネットユーザが増えていけば、ネット上での評判が悪い企業は、優秀な人材から逃げられてしまう。
 それは、企業の収益を損ねるどころか、最悪の場合、倒産へ導かれる。

 ネット市民は増え続けていく。
 だから、ネット上での評判はリアルの評判を凌駕していく時代が遠からず来る。

 つまり、ネット上での評判の信憑性が革新的に高まれば、企業は現在よりもっと良好な労働環境へと改善しなければならなくなるし、ブラック企業は駆逐されやすくなるのだ。

 これは、ネット時代における消費者運動といえる。
 社会的に支持されない企業は労働者=市民=消費者から嫌われ、商品の売上は落ち、株価も下落するからだ。

 その点で、「転職会議」が今後、労働者のニーズをしっかり汲む形でサービスを洗練させていくことに期待したいし、転職におけるミスマッチがどれほど解消されたのかについての成果を公表していってほしい。

 「転職のミスマッチ」だけでなく、今日の日本には、解決できてない社会問題がたくさんある。

 だから、社会起業家だけでなく、既存の企業も最近ではソーシャルデザインやソーシャルビジネスを始めようと動き始めている。

 たとえば、ローソンは、HackaLawsonという試みを始めている。
 これは、ローソン店舗を利用してより良い社会を作る仕組みに関するアイデアを公募したり、議論することで、社会にある課題を解決できるインフラに成長しようというものだ。

 ただ、こういう試みの場合、東京で議論イベントが行われることが多いのが難点だ。

 経済的に疲弊した地方のほうが切実な社会的課題を抱えていることが多い。
 だから、全国にチェーン展開しているローソンなら、むしろさびれた地方での店舗の界隈で小規模なミーティングを同時に10箇所くらいで開催するほうが、全国の多くの地方のニーズに応えうるアイデアや意見が集めやすい。

 ところが、東京などの大都市では、頭でっかちなアイデア、生活に根ざしてないアイデア、ニーズではなくウォンツ的なアイデアがいっぱい出ても、それはそのまま他の町では関心外になってしまう。

 もっとも、ローソンでは今後、ネットでの議論も始めるようだから、自治体規模をふまえての丁寧なニーズのくみとりができるかもしれない。

 全国チェーンとして地方がこぞって喜ぶソーシャルチェンジを作ったり、自社だけでなく、地元のNPOと協働したり、地方にいる逸材と組んで仕事をするような柔軟な発想になってほしいところだ。

 僕はソーシャルデザイン的な発想やその活動については、基本的に応援したい。

 ただ、日本ではまだ社会的課題を解決するアイデアを生み出しても、それを実際にソーシャルビジネスとして取り組めるまでの支援が足りない。

 たとえば、社会をより良くするビジネスのためのプランコンテストの賞金も決して高くはない。
 「40億人のためのビジネスアイデアコンテスト」などは、最優秀のアイデアに対しての賞金がたった50万円である。

 しかも、そのアイデアを、このコンテストを主催する企業が「独占」する。

 本当に良質なアイデアなら、むしろ多くの企業がそのアイデアを「シェア」するjことで社会問題の解決が進むのに、なぜ「独占」しようとするのか?

 既に進んでいるソーシャルビジネスでは、社会的課題を解決する優秀なアイデアは、どんどん後続の若いソーシャルベンチャーによって真似されることで洗練され、解決の精度を上げている。

 ソーシャルビジネスでは、どれだけ社会問題を解決したかという成果とその精度にこそ社会的価値があり、その解決事業を持続可能にする仕組みにどれだけ革新的なアイデアがあるかが常に問われる。

 その点では、冒頭で紹介した「転職会議」が今後もっと「転職のミスマッチ」を無くすために洗練させていく必要があるし、企業に関する投稿サイトの信憑性を高められれば、市場が拡大する高齢者介護の施設の格付けに応用すれば、早期の収益化も見込めるだろう。

 こういう発想は、真っ先にサービスをリリースしてしまうほうが先行者利益を得やすい。

 既にある介護施設の格付けでは、金融機関が財務を精査したり、経済専門雑誌が独自調査でランキングを発表しているなど、「専門家」による外部評価が進みつつある。

 しかし、「転職会議」が転職したい人のニーズをふまえて、その企業でいま働いている人や働いたことのある人などの「当事者」によるネット投稿を評価基準にしているように、介護施設も職員や利用者の家族などの「当事者」を反映できるサイトを作れば、これから介護施設に置いた両親を預けたい家族にとってはうれしいサイトが作れるはずだ。

 施設の立地、利用料、サービスの独自性など、客観的に数値で評価できる基準は少なくない。

 「専門家」がはびこり、施設側から金を受け取って悪い評判が載らないサイトよりも、「当事者」かそれに近いネット市民がそれぞれの立場で介護施設を評価すれば、入居する高齢者やその家族はもちろん、そこで働く職員も労働環境の良い職場へ転職し、それに焦った施設運営者は自分の施設の改善に動くだろう。

 労力の割りに賃金が安いという社会的課題が、介護業界には根強くある。

 しかし、職員自身が自分の勤務先をネット投稿で格付けできれば、賃金アップをしないと優秀な人材がよその施設へ逃げていくという状況を作れる。

 それは、決して安くないお金を出し、専門スキルの持ち主に高齢者の親を預ける家族にとって、現時点より良質な介護サービスを期待できる環境を作れることと同じだ。

 こういうアイデアは、このブログ記事のようにオープンに語りたい。
 そして、そうしたアイデアを実現するサイトをいち早く作った会社こそが、高い収益と賞賛を得る。

 社会的課題の解決事業は、常にタイムレースなのだ。
 
 いつやるの?
 今でしょ!

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