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■メディアを改善させるにはスポンサーに苦情を ~広告を出稿する企業経営者は必見!


 気なるニュースというものが、たまにある。
 たとえば、これ。

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 日刊ゲンダイの記事だが、オンライン記事もある。

 これまで、番組を見ていて気になることがあった人は、局あてに苦情を申し入れていたはずだ。
 しかし、今回は番組のスポンサーに苦情を入れた視聴者たちがいた。

 そして、スポンサー企業が、自社の広告を出稿しているテレビ局に対して「公平な番組作りを行っていただけるよう申し入れ」を行ったという。

 つまり、視聴者=消費者を敵に回したくないスポンサー企業は、視聴者から苦情がたくさんくれば、メディア企業に対して「申し入れ」くらいはするということだ。

 このことは、スポンサー企業に対して出稿しているメディアに関する苦情を言えば、メディアの報道のあり方や内容、文脈に対しても、改善させるチャンスを作れることを実証してみせた一例だろう。

 テレビ局も、ラジオ局も、新聞社も、雑誌社も、スポンサー企業に下りられると、商売が成り立たない。
 スポンサーからの広告収益を失えば、経営基盤が崩れるほど、広告収益に依存しているからだ。

 僕はそうしたメディアとフリーランスの立場で仕事をしてきたので、常に不思議に感じていた。

「広告収益に依存していたら、いつまでもスポンサーの意向を無視できず、報道の中立性など保てないのではないか? メディア企業が広告依存型の経営体質である以上、大口のスポンサーが嫌がる情報の発信はできず、そのままでは編集権ですら自立的に運用できなくなる恐れすらあるのではないか?」

 そんな疑問を持っていたので、上記の日刊ゲンダイの記事を読んだ時、「スポンサー企業に文句を集めれば、メディア企業を変えさせるチャンスになりうるな」と思ったものだ。

 もちろん、内容が原発関連であったため、脱原発を支持する層がこぞって敏感に反応したことはあるだろうが、直接テレビ局に文句を言っても、文句が来た事実は明るみに出なかっただろう。

 スポンサー企業に文句を言ったからこそ、スポンサー企業は公式コメントを出さざるを得なかったのだ。
 これは、不買運動の一種である。

 スポンサーは、視聴者に共感し、テレビ局に間違いを正す構えを表明することで、自社や自社の商品・サービスに対してまで悪い印象が及ばないように、先手を打ったのだ。

 もちろん、読売テレビがスポンサーからの意向を受けて、何かを変えるということは、表面的にはないかもしれない。

 しかし、テレビ局内では、スポンサーに今後苦情が殺到した時にどう対処すればよいかに対して、今後なんらかの対策を準備するチャンスにもなりえたはずだ。

 その際、キーマンは広告代理店である。

 メディア企業のほとんどは、自社媒体に出稿するスポンサーを自社内だけで集められない。
 広告営業力が弱いために、広告代理店に委託している。

 ということは、メディア企業に対する広告代理店の発言力は大きいのだ。

 メディア企業の社員にとって自社の収益を作ってくれているのは、代理店である。
 代理店の人間に対して、彼らのおかげで高い年収を得ているテレビ局の人間は頭が上がらないのだ。

 そして、代理店にとっても、スポンサーが視聴者からのクレームによって下りてしまうことになれば、営業手数料による収益が減ることになる。

 ということは、テレビ局+広告代理店は、スポンサー企業の「再春館製薬」が独自に公式コメントを発表し、しかもその内容がテレビ局への改善の申し入れであったことを、苦々しく感じているに違いない。

 なぜなら、視聴者が番組の進行のあり方だけでなく、今後、番組の内容や出演者の人選やメッセージなどに対して不満を持つたびにスポンサーに苦情が届けば、「テレビ局と代理店はスポンサー企業を守れない」という不信感を(広告を出稿している)企業に与えかねないからだ。

 それは、これまで代理店がマスメディアを通じて巧みに民意を誘導してきた力を失うことも意味する。
 だから、彼らは今回の一件で小さからぬ危機感を抱いたはずだ。

 そうだとすれば、今後似たようなことが起きた時に、視聴者からの苦情が届いたスポンサーに対して代理店は「公式コメントは発表しないで」と指導するか、あるいはテレビ局とスポンサーの間に広告出稿する際に「視聴者から苦情が来たら表向きは『番組に申し入れを入れる』と発表してもテレビ局は『報道の中立性』によってスポンサーの意向に左右されない」ことの事前確認をするだろう。

 もっとも、テレビ局と代理店がどう動こうとも、番組スポンサーに対する苦情の大きさは、twitterやfacebookなど誰もが見られるインターネット上でははっきりと表に出てしまう。

 実際、スポンサー企業へ苦情を伝えるのは、とてもカンタンだ。

★スポンサー企業の公式twitterアカウント宛てに苦情をつぶやく
★スポンサー企業の公式サイトの広報や商品に対する苦情の窓口にメールする
★スポンサー企業の公式サイトの広報や商品に対する苦情の窓口サイトへのリンクをtweetする
★スポンサー企業のfacebookページに「いいね」を押してウォールに苦情を書き込む
★スポンサー企業の経営者の公式ブログに苦情のコメントを残す


 こうした苦情の集積は、ネット上のアーカイブとして、嵐が通り過ぎた後も蓄積される。

 蓄積され続けることは、日が経てば経つほど、悪い印象がその企業に募っていき、やがては商品・サービスに対する信頼すら失っていくことを意味する。

 そこでもし企業側が苦情に対する公式見解の発表を延々と渋っていたり、スポンサーの申し入れがメディアのあり方を変えないとしたら、今度は実際にスポンサー企業の商品・サービスに対する不買運動や、メディアに対する「視聴拒否」運動にも発展するかもしれない。

 原発に関連していえば、市場を独占している電力会社は、ライバル会社もなく、それゆえにメディアに広告を出稿する必要もないのに、莫大な金で広告枠を買うことでメディアからの批判を黙らせてきた。

 そんな時代は、成熟した視聴者=消費者が遅かれ早かれ終わりにするだろう。
 原発の広告を載せた雑誌は公開されたし、テレビの原発広告で大金を手にした著名人も公開されている。

 視聴者=消費者である市民が「原発は絶対に安全」とだまされてきた背景には、電力会社が支払う莫大な広告費で荒稼ぎしたいメディア企業や著名人がいた。
 その事実を忘れてはいけないだろう。

 僕ら市民=視聴者=消費者は、広告を出稿するスポンサー企業に直接苦情を届けることで、「おかしい」「変だ」と率直に感じるメディアのあり方を改善させる手段を得た。

 それは1市民としては弱い僕ら市民の手放せない権利なのだ。

 なお、脱原発をもっと有効に進める具体的な手段については、拙著新刊『ソーシャルデザイン50の方法 あなたが世界を変えるとき』(中公新書ラクレ)に書いたので、ぜひ一読してみてほしい。


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