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■5番目の虐待 ~見えにくい「文化的虐待」について考えてみた


 児童虐待やDVには、精神的・身体的・性的・ネグレクトの4つがあるとされている。
 だが、実はもう一つ見えにくくて根強い虐待がある。

 それが、文化的虐待だ。

 たとえば、時代によって子育てや恋愛のスタイルは異なる。

 戦前の親は、子どもを餓えさせなければ、親として一人前だった。

 メシを食わせていれば、子どもの自尊心に配慮しなくてもよく、家族全体が餓えれば、娘を奉公に出したり、口減らしとして売ることさえあった。

 家族の生活の方が、子どもの尊厳より大事な文化土壌があったのだ。
 いわゆる「家父長制」の政治的・社会的状況下では、それがフツーだった。

 家父長制とは、祖父>父>長男という指揮系統で家族を営む制度だ。
 当然、次男や娘などは、権利など無い。
 同時に、親には絶対的な権威が保障され、子どもは親の言い分に絶対的に従うことが美徳だった。

 だから、そういう空気で育った戦後世代の親は、子どもの気持ちを聞くことによって自尊心を確かめるという作法がそもそもないことがある。

 若い世代の子どものほうは、戦後の自由と平等な社会で育っている。
 だから、当然のように個人の尊厳を求める。

 個人の尊厳を大事にされない子どもにとって、愛されているという実感は乏しい。

 なぜなら、その親は「ちゃんとメシを食わせてやっただろ。それに学校まで行かせてやったのに何を言っているんだ」と理解や関心を示さないからだ。

 カセットテープの音声がパソコンでは直接読み込めないのに似て、旧式の文化を当然として老いていく親にとって、若い世代の文化であり、関係作法である「個人の尊厳」など配慮する能力がないし、それを学習するには年をとりすぎてしまっているのだ。

 しかし、子どものほうはどんどん新しい時代の文化、価値観、関係作法を吸収して育つので、親のそれとのギャップが増していく一方である。

 これは、人類史的には延々と繰り返されてきたことだろう。
 進歩とは、より古い文化をより良いものへと更新していくこと。

 だから、当然、若い世代にとって古い世代は「もおのたりないもの」として認知されやすく、それゆえに親子の間にある文化のギャップを改善しようと歩み寄らない親から延々と同調圧力的に昔の関係作法を強いられることで虐げられた印象を持つし、そのこと自体が「本当は受け入れてあげたい」はずの親に対する憎しみや忌避、つらさというストレスにさらされ続けることになる。

 時代が進めば、関係作法における基準が変わる。

 異なる関係作法を主張しあえば、そこには互いに「愛されていない」という断絶が起こるだけでなく、たいていの場合、両親や親族、その世代のおじさん、おばさんたちの旧弊な価値観の同調圧力が、子ども側にとっては虐待と同じ圧迫や生き苦しさもたらす。

 そうした古い世代の人口が全人口比の中で若い世代より多数派を占める現代の日本では、旧世代の同調圧力は若者をさらに孤立化させてしまう誘因になりやすい。

 DVにも同様の「文化的虐待」があり、とくに男女間では男性主導の社会だと女性の側が虐げられることになる。
 職場や議会に女性が少なければ、当然のように女性の意見は制度に反映されない。

 それどころか、その圧倒的に支配的な構図を是正するために戦うことで人生が浪費されることへの無力感から、オルタナティブで多様な人生を求めることに活路を発見せざるを得なくなる。

 フェミニズムが「私の幸せは私が決める」と淡々と繰り返し宣言してきたのは、まさに文化的虐待をしなやかにやりすごす作法だったのかもしれない。

 LGBTが道化的に振る舞うことがあるのも、漫然とある文化的虐待に対して自己の存在や役割を社会の中に位置づけるための作法の一つなのかもしれない。

 こうした文化的虐待は、それによって苦しんでいる当事者自身が「これは虐待なんだ」と言葉や態度、商品や作品の中で主張し続けていく必要があるだろう。

 そして、この「文化的虐待」は、相手を理解しようと努めても、報われることが極めて少ないことを覚悟しつつ、虐待の害が及ばない場所まで距離を置き、自ら避難することで救済の方法が見えてくることを学ぶ必要があるだろう。 

 自分自身が旧世代の関係作法に毒され、誰かの尊厳を踏みにじるような愚挙を犯さないためにも。

 関係作法の違いのような「見えにくい虐待」ほど、人の生活や命を静かに蝕んでしまうものは無いのだから。


島の先生(5)「私を捨てた母」
(※NHKの土曜ドラマ『島の先生』第5話より。33分あたりから母と娘の会話をチェキ!)

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