ビジネス・サイゾーの記事に、出版社がつぶれる話題が載っていた。
http://biz-journal.jp/2013/01/post_1263.html 年間で新刊本は約8万点も出ている。
出版不況が叫ばれて久しいけれど、まだ「数出しゃ当たる」という精度の悪いマーケティングに頼っているのが出版業界だし、課題を先送りしてきた放漫経営も問題なんだ。
少なくとも、「若い人活字を読まなくなった」なんてのはウソだし、言い訳にすぎない。
有益かつ面白い本は、ちゃんと売れている。
では、何のために「売れる本」を作るの?
自社だけを儲けさせるため?
取次や書店を含む出版業界を維持するため?
違うよね。
社会的価値の高い知識や教養を末永く後世に伝えていけるのが、本のはずだよ。
雑誌と同じように早く売れればいいや、という消費財にしてしまったのは、業界の内部だけの利益構造にしか関心がなかった(=公益に資する理念を忘れた)からじゃないの?
本が商品として生き残るには、孫の世代にまで通じる価値をどれだけ込められるかという未来志向型の編集方針が何よりも先だろう。
その上で販路拡大、翻訳化、著者のブランド化など先送りしていたビジネスを電子書籍とシナジーを生む形で作り出すつもりがなければ、いつまでもワンマン経営者の放漫ぶりに現場の社員が耐えかね、人材が枯渇し、本を作り、愛する人が減ってしまう。
本の底力を復権させるには、なぜ紙なのか、どんな付加価値を出せるのか、紙で読む文化とは何だったのかなど、真剣に論じられる環境が必要だろう。
でないと、ネオヒルズ族のような人たちを担いで、損失補てんをすることになる。
これはもう社会的価値を自ら放棄してしまったのと同じ。
まともな出版ビジネスをしたい優秀な人材は、どんどん会社を辞めてしまうだろう。
実際、良質な内容と売上の両方を守れる優秀な出版人ほど、どんどん独立している。
出版業界自体の社会化こそが求められている。
本はそもそもロングテール商品だから、出版社も非営利事業をしているNPOが事業型NPOに転換している現実から、その手法を学んでほしいと思うのだけど、たぶん自社の問題が事業型NPO(ソーシャルベンチャー)から学べることなど、ピンと来ないんだろうなぁ。
この問題は今後も繰り返し、提起していこうと思う。
電子書籍を発行する作家だって、本当は優秀な編集者と組むほうが、読者にとって社会的に有益なコンテンツを提供できるのだから。
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