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■時代を読んだ企業ほどソーシャルビジネスを始めている ~SonyとPanasonicが凋落する時代

 Panasonicが、2年連続で7000億円の赤字を発表した。

 新社長は「普通の会社に戻ること」を掲げたが、その「普通の会社」の意図するところは「収益を上げること」だった。

 一見、普通の言葉のように見えるが、ここには危機感がない。

 安さ競争に負けて業者が半減してから目が覚めた今治タオルのように、「中国の安いタオルと競争するか、それとも高品質な世界ブランドに育てるか」という問題に向き合い、後者を選ぶことで業界全体を変えていくという意志が、今のPanasonicには片鱗も見られない。

 本当に「食えない」という切実さがあっても、大企業は会社ごと売り飛ばすか、リストラで縮小して、あとは社長としては退陣すれば良いという甘えがないとはいえない。

 今治タオルは、職人を抱える中小企業だったからこそ、仲間が次々に廃業する姿を見て、奮起した。

 しかし、大企業にはそうした「目に見えるコミュニケーション」の中で危機感を共有していくパートナーシップを築くのが難しい。

 もちろん、ジョブズのように「うちはイノベーションに絶対の自信があるから、ビルよ、アップルの建て直しに金くれよ」とマイクロソフトに声をかける人材も、Panasonicにはもういないだろう。

 NHKの「メイドインジャパン 逆襲のシナリオ」を見ただろうか?

 あの番組では、「ウォークマンを出せたSonyはハードウェアメーカーだったからソフトウェアメーカーを自認していたアップルのiPodを作れなかった」とか、「日本らしい縦割りの企業文化がコミュニケーション不足を生み出したから』とか、いかにもな反省論が展開された。

 「自社グループにレコード会社を抱えていたから著作権保護にこだわりすぎていた」とか、「オリジナルの記憶媒体であるMDがジョブズに『失敗するよ』と笑われていた」とか、もう、いかにもな理由が述べられていくのだ。

 しかし、決定的にSonyが負けたのは、そこではないだろう。
 もっとシンプルなことだ。

 それは、自社の利益を守ることを、顧客(=市民)のニーズを考えることより優先してしまったからだ。

 MDのような新しい記憶媒体を作れば、オリジナルだから顧客はついてくるだろうというのは、驕りである。

 現在の51歳のSonyの社長は、社員の意識を変えていこうと考えているそうだが、他人の意識を変えることほど労力と時間を要する作業はない。

 むしろ、自分自身を変えるほうが早い。

 Sonyはリストラで優秀な人材を中国や韓国の企業に放出してしまったのに、いまだにSonyの良い部分でのDNAを引き継いでいけると考えているのだろうか?

 社長の仕事は、自社の社員の生活を最優先で守ることではない。
 自社の商品・サービスが顧客のニーズを十分以上に満たせることを担保することだ。

 そこがブレさえしなければ、イノベーションは報われる。

 逆にブレてしまえば、大企業と取引していた中小企業の下請けは、サムスンなどの外国企業とキャッシュまわりの良い仕事を優先していくだろう。

 下請けから大企業が見放される時代が既に来ている。

 これまで下請けには、金銭的なことだけなく、見下ろすような視点で付き合ってきた大企業は、Sonyに限らず、少しずつ見放されていくだろう。

 発注の現場で、大企業の末端社員は意識を変えるかもしれないが、本社勤務のマネジメント層にはピンと来ないだろう。

 Sonyはもう、『メイドインジャパン』を担うことはない。
 NHKは、はっきりそう言ってしまっていいのではないか?

 もっとも、NHKの経済部記者だって、起業経験なんてないだろうから、Sony凋落の本質を取材するなんて、できやしないのだから、それも無理な話かもしれない。

 今後、既得権益層は少しずつ自殺するかのように瓦解していく。
 それを期待させるのが、Sonyの凋落なのだ。

 そして、そこから学んで自信をつけるのが若い世代。
 若い世代は、若いからこそ顧客に近い。
 そこから、Sonyが驚くような商品・サービスを生み出す人たちも続出するだろう。

 その傾向は、社会起業家を志す若い世代が増えている現実ひとつとっても実証可能だ。

 ソーシャルビジネスの潜在市場は34兆円以上。

 経産省がわざわざそんなデータを発表するのも、従来だったら政治や行政が解決を期待されていた社会問題が、世界の動向を見れば、民間のビジネスで解決することが望まれていることを、経産省の若手官僚が知ったからだと思う。

 自社の利益より、顧客のニーズ。
 このアタリマエに立ち戻る意識を、おそらくSonyはもてない。
 もてるのは、むしろ大企業に憧れない若者たちなのだ。

 Sonyにせよ、Panasonicにせよ、「大企業病」から脱却するには、自分たちが既にいろいろな意味で時代遅れになっていること自体に「負け組」を自認する必要がある。

 しかし、目先の「収益」そのものが課題であるというところで思考停止してしまってはいないか?

 若者を続々と起業家として育て、いずれも成功させている片岡勝さんは「ニーズに応えれば利益は後からついてくる」と主張し続けてきた。

 SonyやPanasonicは、サムスンのケツを追うような市場の奪い合いからちょっと離れた視点で、社会問題の解決という潜在市場を発見し、ソーシャルビジネスを始めたらいい。

 モノによって新たな市場が生まれる時代は、すでに過去。
 世の中には、切実に解決を待っている人たちがいる「社会問題」というニーズ(市場)が膨大にある。

 大企業がそこに本格的に切り込めば、日本の老舗の大企業は世界から賞賛されるクール・ジャパン・イノベーションを生み出せるかもしれない。

 ユニクロや味の素など、既にいくつかの大企業はソーシャルビジネスを試み始めている。

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