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■風俗の客を増やすなら… ~ユニバーサルデザインのピクトグラムはどうだろう?


 人類最古のビジネスといわれる風俗のあり方を考えることは、売る側・買う側だけの問題ではない。

 性的刺激サービスが「人間の普遍的な行為」なら、基本的人権(性における自由と尊厳)の一つとして受け入れ可能なインフラの可能性を探る必要がある社会の問題だ。

 性のありようや性に関するビジネス、セックスワークは、いつまでも国家に一元的に監理される時代状況が本当に健全なのか?
 あるいは現状の風俗やセックスワークが市場原理的に顧客である市民に歓迎されるものに変えられるのか?

 そして、セックスワーカーがさまざまな意味で安心と安全を担保された職場環境にあるかどうか?
 …など、風俗には多くの課題がある。

 それを考えることは、次世代の性的刺激サービスをどう社会の中に位置づけるかを考えることでもあり、風俗の社会的価値に気づくチャンスにもなりうるだろう。

 現代日本の風俗は、往時に比べれば、かなり経営的に疲弊している。
 そこで、このブログでもいろいろ次世代の風俗のあり方について書いてきた。

 経営不振にはさまざまな要因があるが、それはとりあえずさておき、風俗を利用したくてもできない潜在顧客を新規に開拓するような機運は、なかなか風俗店には見られない。

 たとえば、目の見えない方向けに音声での情報提供をやっている店は見たことがないし、耳の聞こえない方向けに手話で説明を受けられることも無い。
 インターネットを使えない中高年以上の高齢者は、店の情報も知らないし、メールで予約することもできない。

 車イスの利用者が入れるバリアフリー・デザインになっている店なのかどうかも、店の公式サイトを見ただけではわからないし、まったくの初心者にとってはどんなサービスをどんな段取りで施されるのかもわからず、「性病検査をしています」の一方的な自己申告だけでは不安がる向きもある。

 そのような機会損失の中で一番、損をしていると思われるのが、外国人向けの情報がないことだ。

 ワールドカップで沸くブラジルでは、売春婦たちを対象とした無料の英語講座が開かれている。
 大挙して訪れると予想される観光客をもてなすための試みだ。
 これは、とても先進的な取り組みだし、「本当の豊かさ」を考える上でも重要な政策に見える。



 日本の風俗店では、売春防止法のある国家や、利益最優先の目的で事業を行う経営者がそこまでの投資をすることは無いだろう。

 でも、自分の店に価格交渉やサービスの説明などをちゃんとできる人材がいれば、「English OK」の情報と共に公式サイトの英語版を作る程度のことはした方がいい。

 店側がそれすらもしないなら、セックスワーカーやそのサポーターたちの間で、せめてピクトグラム(絵文字)を開発してワーカーの間でシェアしてみてはどうだろう?

 なぜなら、東京五輪の決定ですでに世界中から日本を敢行や留学で訪れる外国人が急増しており、さまざまな宗教によって食べられない食材があることから、安心して日本の飲食店に入れるよう、食品のピクトグラムを普及させる動きが既に始まっている。

pict.jpg

 日本の風俗には、本番(=インサート/挿入)まで行うソープランド以外に、さまざまな性的刺激サービスがあり、プレイ内容やファッション、体型や年齢などバリエーションが豊かにある。

 しかし、他の多くの国は「風俗=売春=インサート」という常識があるため、サービス内容や禁止事項、ワーカーの属性などに関するピクトグラムを開発して外国人にもわかりやすい表示をすれば、集客増に役立つだろう。

 おそらく風俗店の経営者はそこまでやらないだろうから、ワーカー自身が風俗に理解のあるユニバーサル・デザイナーに呼びかけてピクトグラムを開発し、それをインターネット上から誰でもダウンロードできるようにすれば、それらをプリントアウトして店に貼ったり、設置や配布できたり、スマホで顧客に見せることもできるようになる。
(※風俗のバリアフリーを初めて実現するデザイナーがいれば、一躍メディアに注目されて仕事が増えるだろう)

 中には、「乳首が痛いからソフトタッチもNG」「口内発射はNG」「大きすぎるペニスの場合、挿入NG」というワーカーもいるだろうから、各自のNGを伝えられるピクトグラムもニーズに合わせて開発すれば、言語によるコミュニケーションがどうしてもムリでも、サービス前に納得してもらえるチャンスになる。

 店側が努力せず、ワーカー自身がピクトグラムの導入によって外国人客を増やせた場合は、店に営業マージンとして通常のギャラに上乗せしてもらうよう、交渉してもいいかもしれない。

 そのためには、ピクトグラムを導入する以前の昨年度の外国人の客の数や割合を事前に尋ねておき、昨年なら「月に1人しか外国人がいなかった」なら、たとえば「月に2人以上の外国人の新規来店が増えたら、ワーカーみんなのギャラを1.2倍にしてほしい」と事前に書面で確約しておくといいだろう。

 ピクトグラムは、外国人だけでなく、耳が聞こえない人や、風俗の未経験者、ワーカーの家族や友人で理解に努めたい人など、これまで風俗に関心が薄かった人たちに対しても、風俗の現状を考えてもらえるツールになりうるし、それは従来、店側が無視してきた潜在的な顧客層なので、当然、集客増の追い風になる。

 売春が合法化されていない日本では、働きやすい職場環境や買いやすい条件が改善されるには、市場原理に負うところが大きい。

 潜在的な顧客層が続々と風俗に関心を持ち始める時、風俗店も経営の建て直しのためにはユニバーサルデザインの発想が必要不可欠だと思い知るはずだ。
 それは、「顧客がビジネスの中身を変える」という市場原理による変革そのものである。

 僕は売春の合法化を国家が一律に行うよりも、自動車免許や英語検定のように、売る側・買う側の知識とスキルに合わせたライセンス制があるとベターだと考えるが、その構想の詳細については、いつかまた書いてみたい。

 なお、上記の記事の感想は、僕のtwitterアカウントをフォローした上でお気軽にお寄せください。



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■社会問題の解決アプローチ ~支援から伴走へ、当事者固有の価値に気づこう!


 社会問題の解決のアプローチは、多様にある。
 けど、対処療法的な方法と、本質的な方法の2つぐらいのアプローチは抑えておきたいところ。

 たとえば、路上のゴミの問題の場合、みんなでゴミを拾ってきれいにするのは対処療法的。
 拾う人がいる限り、人は気軽にゴミを捨てることができる。

 みんなでやるゴミ拾いが励行されれば、誰かが必ず拾ってくれるのだから、安心して捨てられるわけだ。
 だから、ゴミの山→掃除→ゴミの山…というループが永遠に続く。

 そうした徒労感を味わった人の間から、「本質的な問題を解決しよう」という発想が生まれる。
 そもそもゴミを放置することで誰がどんなことにどれほど困るか?

 それが切実だとして、ゴミを出さずに済む仕組みをどう作るか?
 ゴミを捨てたくない気持ちは、どう多くの人に動機づけられるか?
 …などなど。

 ところが、実際の社会問題の解決アプローチでは、対処療法的な方法に終始して思考停止のままでいる活動団体が多すぎる。
 だからこそ、問題の本質を考え抜いて、問題自体が新たな価値を生むような「脱・常識」的な発想になりにくい。

 ゴミを集めて新しい楽器を生み出して活用したり、商品化するなどは一部で既に試みられているが、問題と思われていたゴミの中に価値を発見しようという気づきは、社会の常識をより生きやすいものへ変えていくことを意味する。

 それこそがソーシャルイノベーション(=生きずらさを作り出してしまう古い価値基準を塗り変え、新しい常識を作り上げること)。

 その担い手である社会起業家は、ソーシャルビジネスを通じて、問題と思われていた存在に価値を発見している。

 支援される一方だった障がい者にしか持ちえない属性(=当事者固有の価値)を活用することで革新的な製品を生み出す事ができたシーンも生まれている。
(詳細は、拙著『ソーシャルデザイン50の方法』を参照)

 その点では、これまで社会から勝手に問題のように語られてきた存在にこそ、新しい時代に革新的な価値を提供できる潜在可能性が高いのだ。

 その存在とは、たとえば、ニート、ひきこもり、メンヘラ、ヲタク、セックスワーカー、ホームレス、要介護者、難病者、難民などだ。

 彼らには、当事者固有の価値がある。
 その価値は、閉塞感に満ちたこの社会を刷新できる力を秘めている。

 だが、その価値の大きさは、彼らと一緒に汗をかいて対等な伴走をすることを避けるばかりで、彼らを一方的に支援したがる人には、絶対に見えてこない。

 だから、若者たちよ、当事者固有の価値に気づき、そこから事業を興して社会を変えよう!
 それこそが、君自身をもっと生きやすくする仕事になるから。

 なお、上記の記事の感想は、僕のtwitterアカウントをフォローした上でお気軽にお寄せください。



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