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■君の仕事も「命に関わる仕事」 ~不況だからこそ誰のために働くかを考えよう!


 どんな仕事も、「命に関わる仕事」として自分の業務や商品・サービスを考えてみると、どれだけ責任の重い仕事をしているかが理解できると思う。

 責任が重い仕事ほど、社会的価値は高いし、実はやりがいも大きくなる。
 だから、最後まで読んでみてほしい。

 「命に関わる仕事」と聞くと、医者や戦場ジャーナリストなどを真っ先に思い浮かべてしまう人もいるだろう。
 でも、一見、命と無縁な仕事でも、必ず命に関わる回路があるんだ。

 たとえば、お笑い。

 あってもなくてもいいような娯楽のように見えるけれど、吉本の芸人はがん患者を相手にお笑いライブをやったりしてる。

 患者の中には、末期がんで余命いくばくか知れない人もいるので、「笑いでがん細胞の増殖が抑えられる」といった科学的な救いの究明には必ずしも寄与するとは言えないかもしれない。

 でも、その日その時の患者の気持ちを明るくさせることは、人生の質を豊かにし、命を一瞬だけでも輝かせる。
 同じことは、嗜好品である音楽やアートなどにも言えるだろう。

 「生きてみたい」と思わせるだけの、美しい何かに触れたいと思う欲望は、人類共通のニーズなのだ。

 たとえば、IT。

 理科系の人には、「道具を使う人がバカをやろうと道具を作った人に責任はない」とうそぶく人が珍しくない。
 それでも、webのプログラム一つで人を危険に陥れることなどカンタンなのに、そこで安全や安心を保証するプログラムを突き詰めることに誇りを持とうとする人たちもいる。

 ShuRという社会起業家は、ろう者が手話でSkypeの向こう側にいる手話通訳者とコミュニケ-ションすると、用件を電話の代わりに伝えてくれるサービスを3・11以後に実用化した。

 震災直後に食糧や生き残るのに必要な物資がほしくても、声が出せず、耳が聞こえないろう者たちにとって、メールのような筆談デバイスではなく、ダイレクトに手話で細かいニーズを伝えられるインフラは、文字通り、命拾いになっただろう。

 こうした事実を知っているなら、プログラマーは自分が毎日開発している仕事を通じて、ソフトやアプリなどによって障害者たちの命を救えることもできるはずと気づくはずだ。

 たとえば、風俗店やAV。
 いろいろな事情でモテない男子が性犯罪にまで至らないのは、射精産業があるからかもしれない。

 それは、社会から蔑視される女性が、自分を蔑視する他の女性の命を間接的に守っているともいえるだろう。

 自分の職業技術を何に使うのか、それは個人の自由だ。

 しかし、自分が誰かに救われたいなら、自分のできることで誰かを救えることを忘れてはならないように思う。
 それは、お互い様ということであり、かっこよく言えば相互扶助だから。

「命を救える技術を、自分は何に使うのか?」

 そう自問する考えるだけで、仕事はもっと面白くなるし、CSR活動も洗練されてくるだろう。

 そのためにも、そうした実例をより多く知っておく必要がある。

 僕が主宰している「社会起業家・養成ゼミ」では、毎週土曜日に全国から社会起業家がゲスト講師として登壇している。

 かつらをがん患者に格安で提供することで、病院内から気軽に外出できる自由を与えた株式会社PEERも、以前に登壇した。

 数万円でかつらを提供できる仕組みを作れば、死ぬまで病院のベッドに縛り付けられたまま、生きてる実感を奪われている患者の自由と尊厳を取り戻せる。

 それこそが、命を輝かせることなのだ、

 「かつらは高価だ」という常識を打ち破るために、PEERの社長は当初、孤軍奮闘したが、既に起業して10周年になる。

 自分の毎日の仕事を「命にかかわる仕事」としてとらえなおせる時、そのビジネスは持続可能になる。
 それが、社会起業(ソーシャルビジネス)の大きな魅力の一つだ。

 不況の中で金や数字、コストカットばかりに目を奪われがちだが、むしろ自分の仕事の在りかたを変えることでこそ顧客に愛される仕事が生まれるのだと思う。

 だからこそ、社会起業をより深く、より的確に学んでほしい。

★社会起業家・養成ゼミ TOKYO
http://socialventure-youseizemi-tokyo.blogspot.jp/
(※毎回、予約先着で30名までしか受講できません。ご予約はお早めに!)

peer.jpeg
(※PEER社長の佐藤真琴氏の講義のようす。この生中継の動画を期間限定で公開中

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■切実度の高い問題にこそ関心を持とう! ~当事者の苦しみは同じじゃない


 ソーシャルビジネス(社会問題の解決ビジネス)や、CSRやUSR、ボランティアなどにおける社会貢献活動の「質」を考える指標の一つとして、その社会問題に苦しむ当事者の中から切実度の高い人の苦しみを優先的に取り除こうとすることは大事だ。

 僕は常々そう考えているけれど、実際のソーシャル・アクションでは「問題の切実度」についてあまり考えられてないものが決して少なくない。

 たとえば、児童虐待の問題。

 この問題によって苦しんでいる当事者には、今まさに親から虐待されている子、児童相談所に救い出されて施設で暮らせるようになった子、施設に入れずに家出するしかなかった子など、段階別に苦しみの内容や切実度は異なる。

 この3者で言えば、今まさに虐待されている子と、施設に入れずに家出するしかない子が苦しみの切実さが高いことがはっきりしている。

 しかし、なぜか児童虐待STOPキャンペーンには、大企業などから莫大なお金がつぎ込まれていたり、施設の子に対する教育費の補助などにそこそこの金と人材が投入されている。

 もちろん、「児童虐待をやめよう」というキャンペーン自体が悪いのではない。
 キャンペーンのあり方を変えれば、莫大な金をもっと切実さの高い子の救済に使えることを考えてみてほしいのだ。

 児童虐待STOPを啓発する広報キャンペーンをしたい人に、僕は自分が編集した『日本一醜い親への手紙』(メディアワークス)という本を渡している。

 この本は、虐待された当事者の経験談を買い付け、100人分を1冊に収録する形で1997年に発表された。
 1冊で10万部を売り、3部作のシリーズに育ち、角川文庫版も出たが、その累計は30万部に及んだ。

 現在はノンカフェブックスから復刻しているが、このように当事者の苦しみを当事者から買い付ければ、本という商品になり、売上を「今まさに虐待されている子」の救済活動に充当させることができる。

 つまり、当事者に近づけば、当事者の声を反映させた本を作ることができ、その収益で活動費を賄えるのだ。

 ところが、実際の児童虐待STOPアクションは、企業から莫大な予算を援助してもらうばかりで、虐待された当事者とのつながりに乏しい。

 なぜ、企業はそんな非生産的な活動に金を出し続けるのか?

 おそらく、当事者の苦しみの切実さに関心がないからだ。

 「べつに悪いことをしてるわけじゃないから少々の金は出してやろう」レベルの意識しか、社会的責任投資を考えてないからだ。

 もし少しでも関心があるなら、「今まさに虐待されている子」を具体的にイメージできるはずだ。
 その子たちは、今日も母親から殴られ、明日も父親からレイプされ、明後日には死を選ぶかもしれない。

 『日本一醜い親への手紙』を読んだ
ことのある人なら、「今この時も実の父親に犯され、明日も犯され、明後日も、その次の日も、親が死ぬまで延々と犯され続けてしまう子がいる」ことの重さを知っている。

 当事者のことは、当事者に尋ねれば、ちゃんと彼ら自身の言葉として現実を教えてくれる。

 だからこそ、当事者からの声を集め、それを商品化し、その収益で活動することで、当事者主体の問題解決につながってほしい。

 そうすればこそ、そのこと自体が「虐待しないで!」とか、「虐待を見つけたら通報して」という広報そのものになり、莫大な予算が「今この時に虐待されている子」の救済に回せる。

 あるいは、施設に避難してきた子たちの教育費にも回せるかもしれない。

 ところが、児童虐待のSTOPアクションをしている人たちにこういう話をすると、「当事者の子たちはトラウマをもっているかもしれないから素人の自分には付き合えない」とか、「精神科医やカウンセラーに任せておくしかない」と言いながら、当事者から遠いところで「支援活動」を自称している団体も珍しくないのだ。

 彼らは自分たちが社会的包括とは真逆のディス・コミュニケーションをしていることに無自覚だし、「虐待された子の苦しみの重さなんて引き受けられない」とまるで腫れ物に触るような言葉を平気で口にする。

 その結果、切実度の高い「今この時に虐待されている子」や「施設にも入れず家出するしかなかった子」の問題は後回しにされ、解決されないまま放置されるのだ。

 これは、いじめの構図とよく似ている。

 多数派が特定の子をいじめている中で、自分までいじめられたくないから、目の前で起こっている現実を観ずに、無関心の構えを取り、助けない。

 いじめられている子にとって、無関心で助けてくれない子たちは、いじめに加担しているのと同じ。
 当事者の視線とは、常にそういうものである。

 「今まさに虐待されている子」は緊急事態なのだから、せめて「110」や「119」のような救援専用ダイヤルを作って一括して相談を受けられる体制をとっているNPOもある。

 だが、なぜかそうしたところには大企業は目をつけない。

 もっとも、日本の企業のCSRはかなり未熟な段階で、助成金の申請にしても「ほしいなら金を出さないこともないけど、あんたから連絡してこいよ」という構えが多いのだ。

 企業のCSRスタッフ自身が切実どの高い問題の解決に取り組んでいる活動団体を国内から本気でリサーチし、「ぜひこのお金を受け取ってください」という気持ちで投資するという企業はまだまだ少ない。

 いずれにせよ、「今まさに虐待されている子」からのSOSを受け取る窓口を作ったり、せめて地元の子どもたちの間から虐待されている子の情報を地道にヒアリングするような活動は可能である。

 金さえあれば、そうした活動は活性化し、児童虐待の問題は水際で深刻化を避けられる。

 一方、虐待されても施設に入れない子の問題も切実度が高い。
 日本の児童擁護施設は既に満杯で、受け入れてくれる保証はない。

 しかも、子どもだけで児童相談所に相談に駆け込んでも、「親を連れてきて」と言われて門前払いされ、親が迎えに来てまたひどく虐待されるという現実は、「先生に告げ口するとまたひどくじめられる」構図と同じで、行政が十分に児童虐待に対応できていないことは、これまでの「子殺し」事件の頻発で明らかになっている。

 だからこそ、僕は1999年に『完全家出マニュアル』(メディアワークス/現在は電子書籍)という本を書いた。
 その後、保証人不要の賃貸物件をリサーチし、『ゲストハウスに住もう!』(晶文社)という本も発表した。

 施設に入れない以上、自分で生活し、高卒認定も自腹を切って受験しない限り、大学に入れないし、まともなバイトにもつけない。

 だからこそ、未成年でもこの社会の仕組みを知り、仕事・定住先・自分の目的を満たして自立していける方法を学ぶ必要があるし、そのために『完全家出マニュアル』を書いたのだ。

 切実度の高い社会問題ほど優先的に解決するという構えで活動している個人や団体は、決して少なくはない。
 しかし、そこに金や人材が集まらないのは、残念だ。

 CSRのスタッフが自社の活動をソーシャルビジネスへ進化させたいのなら、まずは社会問題に苦しむ当事者の中でも本当に切実度の高い人たちは誰なのかに関心を持ってほしい。

 ソーシャルビジネスも、そのように切実度のより高い問題を解決しようとすることで社会的価値が向上する。

 でも、こんなことさえ、社会起業を教えているはずの教育機関でも、あまり話題にならない。
 おそらく、社会的弱者に対する関心が薄いから、ビジネススキルしか教えられないのだろう。

 ビジネススキルを身につけることは必要不可欠だが、同時に問題解決の手法を当事者ニーズから掘り起こすという作業がないがしろにされれば、社会問題を解決できるビジネスは成り立たない。

 だから、僕は以下のように私塾を開講した。

 自分の毎日の仕事を、もっとやりがのあるものに変えていきたい人には、うってつけのゼミだ。

★社会起業家・養成ゼミ TOKYO
http://socialventure-youseizemi-tokyo.blogspot.jp/
(※毎回、予約先着で30名までしか受講できません。ご予約はお早めに!)

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