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■10代の被災者よ、被災体験を書くと1万円! ~10月20日〆切必着


■被災者支援事業
 『子どもたちの3・11 被災体験記』(仮)
  原稿募集のご案内


 3月11日に起きた東日本大震災によって、被災地の親御さんの中には
仕事や収入手段を奪われた方が少なからずいらっしゃいます。

 そうした家庭で暮らす子どもたちには、親や周囲の大人が苦労していても
「自分はお金のことはどうにもできない」と無力感を覚える子もいます。

 そこで、子ども本来の仕事である勉強の一つである「作文」を書くことで、
正当な原稿料をお支払いできる仕組みを作りました。

 被災体験記を書くと、1万円が得られるのです。
(※一応、選考はありますが、現在、先着順で採用しています)

 そうした原稿を集めて本として出版し、初版印税からお支払いします。

 こうすることで、原稿の採用者には謝礼を支払うことができ、同時にこの本を
読んだ全国の方が被災地の本当の姿や被災者の気持ちを知ることができます。

 そのため、支援物資の提供を継続できたり、被災者に仕事を与えるチャンスを
増やすなど、被災地の復興に貢献することができます。

 しかも、自分に起きた体験を書けばいいので、投稿者の多くは家族や友人、
先生と話しながら2時間程度で書き上げ、学校からファクスやメールで送ってきています

 支援事業なので、作文の上手・下手は関係なく、先着順で選考し、応募すればほぼ採用

 全国の書店で販売される本に自分の文章が載れば、
進学や就職の面接の際に、他の子にはない魅力をアピールできます。

 「被災」という経験を通じて自分が強く思ったこと、多くの人に伝えたいことなどを、
震災の現実を知らない土地に住む人に語りかけるように書いてみてください。

 作文が苦手な方、大歓迎!
 プロの編集者があなたの原稿を磨き上げ、
採用されやすくなるお手伝いをします。


 文章を書くこと自体が苦手な方には、下記の応募要項に
電話可能な曜日・時間帯を加えてメールしていただければ、
こちらから電話し、「聞き書き」によって文章化いたします。


 たとえば、次のような内容に絞り込んだ作文を公募しています。
(※あくまでも例ですが、なるだけ1つの話題をくわしく掘り下げる形で書いて下さい)。

☆震災から今日まで(震災の被害状況、今日の暮らしにたどりつくまで)
☆避難所・仮設住宅・避難先での暮らしの実態(うれしかった支援物資、困ったことなど)
☆震災前と変わってしまった夢
☆震災によって失った家族・友人について
☆津波被害によって得た防災上の教訓
☆疎開(引越し)先で考えた震災の影響
☆原発事故で自分や周囲の生活がどう変わったか?
☆風評被害で悲しかった体験
☆大震災の後に目覚めた自分自身の夢や目標
☆早く復興するために必要だと思うもの
☆復興後の世の中を作っていく一員として全国に伝えたいこと

☆その他、復興活動に取り組んで実感したことなど

□応募資格:10~19歳の被災者(※震災時に被災地に住んでいた方のみ)
         別途、下記の「応募要項」に必要事項を記入の上、応募ください。

□原稿枚数:400字詰めの原稿用紙で5枚以上(※ワードファイルなら2000字以上)
        ブログに書いている場合は、そのURL(ホームページアドレス)
        ケータイブログやmixi日記に書いた内容でもOK!
        障害者の方なら、他の方による聞き取り原稿も可(※主語は「私」or「僕」)

□原稿の送付先1(eメールの場合):conisshow@gmail.comまでファイルを添付。
                 (※添付できない場合は、メールの文面に文章と応募要項を記入)

□原稿の送付先2(手書きの場合):必ず番号通知で送信(※下記のFAX番号の前に186)。
                FAX:0436-21-5579まで。

□原稿の送付先3(郵送の場合):〒290-0051
千葉県市原市君塚5-26-6 プリミエール君塚B-201
Create Media内 「こどもたちの3・11」応募係



□応募〆切:2011年10月20日

        (※困窮を原稿内でお知らせいただければ、〆切後でも採用する場合あり)
□採用点数:選考の上、30点以上を採用予定(※1人1点のみ採用)
□採用謝礼:1万円(所得税込み)+見本1冊
        (※本書刊行の3カ月以内にお支払いします)
□採用通知:2011年内を予定(※採用者のみに連絡。遅れることがあります)
□企画・編集:Create Media(出版プロダクション) http://www.createmedia.co.jp
□備考:応募原稿の著作権はCreate Mediaに帰属され、謝礼(※初版時の原稿料)の支払いをもって買い取られます。
     また、送られた原稿は、Create Mediaによって編集される場合があります。
     以上の2点をあらかじめご了解の上、ご応募ください。


 電話でのお問い合わせは、090-7802-3065(Create Media 正午~PM10:00)までお気軽にご連絡ください。

【応募要項】(※原稿と一緒に提出するもの)
□氏名(※公開されません。ご希望があれば考慮します)
□筆名(ハンドル ※公開されます)
□年齢(※公開されます)
□郵便番号+住所(※〇〇県〇〇市まで公開されます)
□電話番号(※公開されません。通学先の学校の番号でも可)
□通学先の学校名・学年・クラス名(※公開されません。ご希望があれば考慮します)
□メールアドレス(※公開されません。なくてもOK)
□その他・質問


【採用されるコツ】
○作文の1行目には必ず「震災を知らないあなたへ」という一文を入れ、語りかけるように書いてください。
 「被災しなかったあなたへ」でも構いません。
○5W1H(=誰がいつどこでどのように何をしたか)が具体的に伝わるよう、わかりやすく1文1文を書いてみてください。
 書いた作文は、通学先の学校や塾の国語の先生に添削をお願いし、磨きをかけましょう。
○絵のデッサンをするように、自分の見た風景をていねいに描いてみましょう。
 作文の中に描かれた風景を撮影した画像や絵などがあり、本に掲載してもよろしければ、原稿と同時に送ってください。


【Create Mediaとは…】
 この「被災体験記」の本を企画・編集する出版プロダクションCreate Mediaでは、
これまでに親から虐待された当事者の手紙集『日本一醜い親への手紙』などを制作。
 代表の今一生は親の貧困・虐待・病気などで家や施設で暮らせない子たちの自立を
支援する一般社団法人ストリート・プロジェクト(福岡)の理事を務めたり、全国の
校長先生・教頭先生が読まれている専門誌『月刊 高校教育』で長期連載しています。

★この原稿募集のチラシを配布したい方は、このリンク(A4のPDFファイル)を適宜拡大してプリント&コピーの上、配布・拡散してください。

 なお、上記の支援事業は、毎日新聞・産経新聞・読売新聞などに取材され、記事になりました。
(※毎日新聞web版は5月9日付。本紙は10日付。産経新聞web版は17日付。読売新聞web版は27日付)

 共感していただけましたら、この記事の下にある「ツィートする」「いいね!」
クリックし、より多くの方々に広めていただけるとうれしいです。

 そのちょっとした行動だけでも、被災者を支援したい人が増え、被災者が助かりますから…

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■「若者支援」団体のロゴ&テーマソングを大募集!


■ストリート・プロジェクトの
 団体ロゴ&テーマソングを大募集!


 世の中には、親の虐待・貧困・病気などの事情によって親元で暮らせなかったり、
高校を卒業できなかったり、家出・不登校・ひきこもり・非行などから社会復帰したいのに
自力では難しい10~30代の「さまよえる若者」たちがいます。

 一般社団法人ストリート・プロジェクト(略称ストプロ)は、そうした「さまよえる若者」の学習・就労・
起業を支援し、彼らの夢を実現する福岡の非営利活動法人。

 若者支援の活動の輪を広げるため、活動の趣旨を反映した団体のロゴとテーマソングを公募します。

【応募資格】 プロ・アマ・年齢・国籍、一切不問。  

【応募〆切】 2011年11月20日(必着)

【選考・発表】 当団体で審査の上、採用作を決定。
          下記の11月23日のイベントで発表(※後日、公式サイトでも発表)。

【賞金・副賞】 各部門1名様に賞金3万円を進呈。副賞多数!(応募要項を参照)

【応募要項】 下記サイトを参照。
          http://www.createmedia.co.jp/img/logo&song-web.pdf

【注意】 テーマソング部門は、作詞だけ・作曲だけの応募はNGです。
      必ず音源と詩をセットにしてご応募ください。
      著作権管理会社に登録していない楽曲なら、自作の既製曲でもOK。
      団体ロゴは、「Street Project」など英語表記もOK。
      世界に通じる企業ロゴを参考に、クールなデザインを!

【ストプロの活動内容を知る参考サイト】
 ◎ストプロの公式サイト
 ◎ストプロ★寄付本プロジェクト
 ◎高認まなび舎(※無料の高認資格の受験塾)
 ◎坪井恵子・理事長について
 ◎ストプロ活動ストーリー2009-2011(Youtube)

【お問い合わせ】 一般社団法人ストリート・プロジェクト
            福岡県福岡市博多区博多駅東1-2-5 日之出ビル博多駅前404号
 TEL:092-414-1115
 E-mail: conisshow@gmail.com
 http://stpro.jimdo.com/
 (※ストプロ公式サイト)


 ケータイのバーコードリ-ダーで、上記の公募情報を保存しよう!

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■一般社団法人ストリート・プロジェクト 設立1周年記念
 第1回 ストプロ★フェスタ

 生きずらい人、支えたい人、全員集合!


 高校中退・不登校・家出・ひきこもり・ヤンキー…等。
 そんな若者たちと一緒に「自分の選びたい人生」へ
 伴走する「ストプロ」の仲間と活動のすべて!

 生きづらさを感じてる若者はもちろん、保護者の方や弁護士・教師・
児童福祉士・臨床心理士・PSW、社会起業家を志す方へ。

【日時】 2011年11月23日(祝) 午前11時30分~午後8時

【入場】 無料(※出入り自由)

【会場】 あじびホール(福岡アジア美術館内) TEL:092-263-1100

【地図】 http://faam.city.fukuoka.lg.jp/use/use_acc.html

【詳細】 下記サイトを参照。
      http://www.createmedia.co.jp/img/1123.pdf(広報チラシ)

【出演】 吉田祥吾(ミュージシャン)/今一生(フリーライター)
      中村すえ子(映画『ハードライフ』原作者)/坪井恵子(ストプロ理事長)、ほか

【入場者特典】 当日、上記の広報チラシを持参し、友人1名を誘って参加されると、
           先着10組20名様にストプロ理事の今一生の書籍を1冊ずつプレゼント!

【予約者特典】 予約なしでも入れますが、下記まで氏名・住所(〒付き)をお知らせいただければ、
           「ストプロ通信」(最新版)のPDFファイルをメールでプレゼントします。

【お問い合わせ】 一般社団法人ストリート・プロジェクト
            福岡県福岡市博多区博多駅東1-2-5 日之出ビル博多駅前404号
 TEL:092-414-1115
 E-mail: stpro2010@gmail.com
 http://stpro.jimdo.com/


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(博多駅前から徒歩4分)



 ケータイのバーコードリーダーで、上記のイベント情報を保存しよう!

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■精神病院を全廃したイタリア ~ソーシャルビジネスを始めたい若者へ3


 僕は1995年頃から自殺に関する取材を始め、既に15年以上が経つ。
 取材対象者は、300人を超えてから数えなくなった。

 その中には、精神病院で買わされた処方薬を過剰摂取して
心肺機能を壊し、亡くなってしまった若者が3人もいる。

 自分で自分の心をコントロールできない病気になっているのだから、
処方量を守って飲むことができない患者がいるのは当然なのに、それを見越して
ちゃっかり自分の「太い客」にして儲けているのが、日本の精神科医療だ。
(※精神病院の闇については、このサイトをご参照されたい)

 自殺に導く社会的要因は児童虐待・貧困・病気などいろいろあるが、
死にたくなくて医療に頼ったのに、「3分診療、薬漬け」のずさんな
あり方が引き金になって死んでしまうなんて、絶対に許せない。

 そうした思いで、取材期間中、10年以上は、自殺志願者・未遂者たち
からの相談に24時間、365日、仕事の傍ら、無料で応じてきた。

 精神科医がもっと患者に対して十分な時間をかけ、患者の生活事情や
人間関係、職場環境などについて適切な福祉サービスにつないでいたら、
入院費も治療費も薬代もかからず、もっと早く社会復帰できただろう。

 しかし、いくらそれを望んでも、精神科医は「初診時に病名を与え、患者に
薬を定期的に買う顧客にする」というビジネスモデルを改めない。

 だから、僕は仕事中でも、かかってくる相談電話に深夜でも早朝でも応じ、
ひっきりなしに来る相談メールのすべてに返事を書き、「会いたい」と切実に
頼んでくる人に会うしかなかったのだ。




 「死にたいほどつらい」と訴える人の話に延々と応じていると、働く時間を削られ、
貧乏になり、自己破産まで招いた。
 その顛末は、拙著『プライドワーク』(春秋社)にくわしい。

 誰かを助ける活動をする人にお金が運ばれる仕組みを作らないと、
持続可能な支援にならず、「患者」は社会の中で右往左往して疲れるばかりだ。

 それゆえに、僕はビジネスの手法を用いて社会的課題を解決する
「社会起業」(ソーシャルビジネス)への関心が高まり、
2003年頃から少しずつ社会起業家の取材を始め、今日にいたる。

 この広い社会には、切実な苦しみに耐えながら生きてる人たちがいる。

 そうした当事者たちに寄り添って、問題を解決する仕組みを作ろうとするところに、
社会起業家の社会的価値がある。

 だから、ソーシャルビジネスでは、社会の底辺に生きる人たちとの出会いと関係の
中からしか有効な事業が生まれようがない。

 やがて脳科学が進めば、現在の精神科医療は縮小し、内科と外科で十分になるだろう。
 脳の検査をすれば、初診時に当然のように薬を売ってた精神科医は儲からなくなり、つぶれる。

 逆に必要になるのが、心に問題を感じる当事者に対する福祉サービスだ。
 自殺を減らす社会起業を志すなら、薬漬け医療の問題解決も視野に入れよう!

 そこで、お勧めしたいのが、精神病院を全廃したイタリアでの実話をもとに作られた
映画『人生、ここにあり!』(原題:やればできるさ!)。




 この映画を観る前に、日本の精神科医療が他国と比べてどれほど遅れているかを知っておこう。

 下記の表は、精神病院に入院した患者の平均滞在日数だ。
 外国と比べ、日本がズバぬけて入院日数が多いことがわかる。

kanja.jpg

 「心に問題がある」と告白すると、医療の独占市場になってしまうのが日本。
 上記のデータを含め日本の精神科医療を見渡すなら、「医療観察法.NET」をご覧いただきたい。

 しかし、他国では、そんな単純な理解はしない。
 困っている人は、地域社会の市民たちみんなで面倒を見ようという心の豊かさがある。

 それが地域医療+障害者福祉の考え方であり、病院は「心の問題に悩める当事者」にとって
問題解決を助ける一機関にすぎない。

 就労や教育、友人関係、自分の住む地域にある豊かな社会資源にふれ、「みんなで解決しよう」と
発想するのが、「脱・医療依存」なアプローチの基本姿勢なのだ。
(※問題を解決するのに医療に依存しているのは医者であって、患者ではない)

 そして、こうした「脱・医療依存」の特攻隊長がイタリアだ。
 イタリアのノルチョ医師は、日本での講演会でこう言っている。

「重要なかぎは、治療者である。
 治療者が 患者さんと社会の仲介者となること。
 精神的苦悩を持つ人の自由を考える中で、社会的コンセプトの中でとらえる必要がある。」
(※全文を知りたい方は、このサイトを参照されたい)

 文化人類学の立場からイタリアの精神医療を研究されている松嶋健さんは、こう言う。

「認知症にしろ精神障害にしろ、ある時代の特定の制度のなかで病気として位置づけられてきたと言えます。
 健康と病気、正常と病理の間の線引きは文化・歴史的文脈のなかで変移し、かつ相互的に規定されてきました。
 病気の問題は、単に個人を対象とする医療や医学の問題ではなく、社会全体の問題として捉えられます。
 近代的な精神病院は、そのほとんどが公立であり、社会的な隔離の装置として主に機能していました。
 そこで行われていたことは、治療よりもまず管理。
 それが、医学の名の下に正当化されていた側面がありました。
 1960年代に入り、現場の精神科医や看護士の間にこのような認識が徐々に広まると、他の欧米諸国でも進行していた『反精神医学』運動とも呼応し、最終的に精神病院を廃止する法の制定にまで至ります。
 但しこれは、精神医学そのものを全否定したということではありません。
 精神病院をなくすか否か、ということよりも、精神病院という場を成り立たせている『Istituzione 制度=施設の論理』を問い直すことだったのです」
(※途中、いろいろ省略してます。全文を参照したい方は、こちらのサイトへ)

 精神病院を全廃したイタリア「地域ケア」の実情については、自ら「患者」を装って
日本の精神病院に潜入取材したジャーナリスト・大熊一夫さんの書いた本
『精神病院を捨てたイタリア 捨てない日本』(岩波書店)にくわしい。




 ちなみに、精神病院による「医療支配」から福祉による「問題共有」へと
地域ケアに歩み出している国は、他にもいろいろある。

◎デンマーク:このサイトと、このサイトを参照。
◎スウェーデン:このサイトこのサイトを参照。
◎フランス:このサイトを参照。
◎カナダ:このサイトを参照。
◎アメリカ:このサイトこのサイトを参照。


 さて、僕は今週9月30日(金)の「レディースデー」に東京・シネスィッチ銀座で午前11時から映画『人生、ここにあり!』を見る予定。

 見終わった後は、きっと誰かと話したくなるだろう。
 そこで、同行したい方を大募集!

 メールあるいは僕のtwitterアカウントをフォローの上、DM(ダイレクトメッセージ)で、
氏名・ケータイ番号をお知らせくださいな。

 初対面、大歓迎。
 では、劇場でお会いしましょう!

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■当事者こそ至高のメンター! ~ソーシャルビジネスを始めたい若者へ2


 ソーシャルビジネスについては、既に多くの本が出回っている。

 しかし、ソーシャルビジネスが解決することで救われる社会的弱者の当事者自身の声を十分に反映し、社会起業のミッションの確かさを担保しているものは少ない。

 まるでマクロ経済を語るように、たとえば貧困の度合いを数字にして終わっていたり、当事者自身による証言や自助努力を十分に紹介していないなど、ソーシャルビジネスの語り部の表現には、まだまだソーシャルビジネスの恩恵を受ける「顧客」の声が届かず、このことは僕自身も反省しなければならないことかもしれない。

 僕は自殺の取材を15年ほどしてきて、そのプロセスから「自殺問題の解決には社会起業(ソーシャルビジネス)のアプローチが不可欠」という思いを強くしてきた。

 そして、もう一つの気づきがあった。

 それは、自殺志願者とひとくくりにはできず、その中には「救われたくない人」が存在し、「死ぬこと自体が私の幸せ」とはっきりと明言する人たちが一定層いるということだ。

 もちろん、同じ人間でも「救われたい」と切実に思う時と、「もういい。救われたくない」とあきらめてしまっている時と、その両方の時間を相互に往復しながら「わからない」あるいは「考えたくない」と思考停止することで心の安定を保っている時など、生きている限り、当事者自身のニーズは常に揺れている。

 だから、当事者ニーズを満たそうと思えば、「死にたい」「救われたくない」という声を無視することはできなくなる。

 こう書くと、「死にたい人に『死んでいいよ』と言うわけですか?」と反論する向きもあろう。
 そこであえて答えるなら、僕の答えは、「そうです」だ。

 「死にたい」と切実に願い、それこそが幸せと感じている人に「死ぬな」「生きろ」と言うだけならそれはとても簡単なことだ。

 しかし、そうした言葉がたいていの場合、言葉だけの励ましに終わることを、自殺志願者や自殺未遂の当事者たちの多くは気づいている。

 たとえば、親からの虐待には、全国民に通告義務があるが、これはイジメの問題と同様に、周囲に発覚すれば、結局、虐待する親に児童相談所が指導に訪れるため、虐待がエスカレートしてしまうのに、一時保護や親権停止はめったにされない。

 そこで、自分の家にかくまってくれるような人は、まずいない。
 親からの告発で誘拐罪(未成年略取)に問われれば、救う自分が社会的に抹殺されかねないからだ。

 たとえば、精神科の病院へ入院した後、仕事復帰したくても、処方薬への依存が自力で辞められず、復職が困難で生活保護の受給者になったまま、30歳を過ぎても社会復帰できず、友達も作れず、深い孤独の奥底で自殺を考えてしまう人がいたら、あなたなら、どこまで付き合えるだろうか?

 人を救うには、そのための時間やお金、スキルが必要だが、そこに人生の労力を費やす覚悟が問われるのだ。

 実際、死にたい人には、死にたくなるだけの切実な問題を常に抱えている。

 それが自助努力では解決できず、かといって他の人にも容易に頼れない案件であると思いこんでしまっていたり、「こんな最低の自分なんかの問題に他人様を巻き込みたくない」という自己評価の低さゆえの遠慮もあるし、あるいは「私の抱える問題ととことん解決まで付き合ってくれる人など会ったことがない」という経験値から、結局は切実な苦しみから逃れられず、「死=幸せ」という認知に希望を見出してしまうことは、自殺を考える当事者たちにはよくあることだ。

 もちろん、こうした当事者の声については、『生きちゃってるし、死なないし リストカット&オーバードーズ依存症』(晶文社)や、『「死ぬ自由」という名の救い ネット心中と精神科医』(河出書房新社)、『日本一醜い親への手紙』などの本で紹介してきたため、『社会起業家に学べ!』(アスキー新書)ではそこまではっきりとは書かなかった。

 社会起業を志す人間なら、社会的弱者の当事者の声を否定せず、その声そのものをニーズとして受け入れ、それを解決できる商品やサービスを生み出すのが自明だろうと、たかをくくっていたからだ。

 もっとも、上野千鶴子さんが共著で発表した『当事者主権』(岩波新書)は、当事者ニーズと当事者の自助努力そして当事者による制度変更やアドボカシー(政策提言)の動きを非常にわかりやすく詳述している。

 既に社会起業を始めている人には、改めて「当事者」と伴走することの意味を感じ入るだろう。



 ソーシャルビジネスの担い手にとって、当事者各自の声を拾い集めることは、当事者をひとまとめにせず、個人の尊厳を守ることだ。

 個人の尊厳は、先進国ですら多くのタブーによって蹂躙され、十分に守られているとは言いがたい。

 個人の尊厳は「私が私のままで生きられる」ことを保証することで実感されるので、自分の属性が社会の中で少数派であるがゆえに不自由や偏見を強いられていたり、多くの人たちから関心を持たれないためになにかのガマンを強いられている。

 社会起業(ソーシャルビジネス)が、社会的課題を解決する事業体である以上、こうした少数派(マイノリティ)の切実な苦しみに向き合うことも事業目的の一つとして数えられるだろうし、同時に自殺予防対策の一つであると言えるだろう。

 ところが、より多くの人の関心を引き付けることで視聴率や読者を獲得し、スポンサーへ広告の費用対効果を約束しようとするマスメディアであるテレビや新聞では、なかなかマイノリティの問題は取り上げられにくい。

 それでも、志のある映像ディレクターや雑誌ライターも一部にいて、制作費がどんなに低くても、自腹を切って取材を進めたり、自分の生活をギリギリに切りつめても取材を続け、マイノリティゆえにタブー視される問題も報道しようとしてくれる。

 今日の時点では、マスメディアの従事者でソーシャルビジネスに関心を持っている人はほんの一握りしかいないし、その中でも継続的に同じテーマを取材する人は決して多くはない。

 そのため、ソーシャルビジネスを紹介する映像や記事でも、その事業が社会的弱者の当事者の声に注目し、彼ら自身のニーズどれほど答えているかについてまで言及したコンテンツは多くはない。

 それでも、誰もが解決をあきらめてしまいがちのヘビーなータブーに対して挑戦し、必死に解決に取り組んでいる人をきっちり取材する人もいる。

 その一つとして、下記の動画をご覧いただきたい。

 健常者にとっては関心外にあるために、性的にも恋愛的にも疎外されている障害者の「性」の問題に対して、性的介護サービスを始めた新潟のNPOホワイトハンズの活動を紹介する番組である。



 上記の映像には、サービスの恩恵を受ける障害者(当事者)=ソーシャルビジネスの顧客へのインタビューもあるため、NPOホワイトハンズの始めた「性的介護」のサービスが当事者ニーズと決してかけ離れておらず、介助に従事するスタッフにも、そのサービスの社会的価値が理解されていることが良くわかる。

 そして、オランダでは行政がそのサービス料金を行政が負担していることも紹介されている。

 これを見れば、ソーシャルビジネスが、本来なら政治や行政が率先して解決すべきことを民力によって解決するために行われる事業であることも理解できるだろう。

 日本の社会起業家の先駆け的存在である片岡勝氏は、「私たちは第2の行政を作っているのだ」と言ったそうだ。

 既存の行政は、政治によって予算をつけられている。
 政治は「最大多数の最大幸福」を優先するため、マイノリティの権利や尊厳は優先されないし、関心外になりがちだ。

 だからこそ、政治や行政、既存の企業が解決できないでいる社会的課題を解決しようとするなら、社会的弱者の当事者個々の声を最優先に大事にするのは、当然のことなのだ。

 それゆえ、社会起業家に対して少なくとも2つの重要な提案をしておくべきかもしれない。

 一つは、ソーシャルビジネスの成功事例として、その起業家が救おうとしている当事者自身によって顧客満足度を語ってもらうこと。

 メディアの取材が入ったら、起業家と一緒に顧客も同席させるのがベターだし、社会的課題によって苦しんでいる当事者をより多く取材してもらえるよう配慮することだろう。

 こうした広報の具体的な戦略については、依頼があるたびに有料で応じているが、広報以前に大事なのは、そもそも社会的弱者の望んでいることを的確に把握したサービスを行っているかどうかだ。

 これがもう一つの提案内容になるのだが、お金に余裕のある中流層以上の顧客を救うのは難しくないが、同じ社会的課題で苦しんでいるといっても、優先して救うべきはお金がない人たちのほうではないかと思う。

 もちろん、お金のある人から救済して、業務が安定したらお金のない人の問題に手をつけるというのも、間違っているわけではないが、その先送りした時間の分だけ、お金のない人たちは苦しみ苦しみ続けることを決して忘れてはならないだろう。

 ソーシャルビジネスの醍醐味は、より弱い者を最優先して救える仕組みを作り出すイノベーションにある。
 この挑戦的なイノベーションにこそ、ソーシャルビジネスの社会的なミッションの確かさが担保されるのだ。

 それが理解できるなら、自分ので手掛けるソーシャルビジネスによって社会にある課題が温存されるような事態になることを恐れなければならないこともわかるはずだ。

 前述の自殺という社会的課題にしても、単純にソーシャルビジネスによって当事者が生き直したくなっただけでは、その人に死を思いつめるまでおいやった社会的要因は温存されてしまう。

 温存されれば、社会起業家のサービスを必要とする顧客はいつまでも減らない。
 それは、「社会を変える仕事」と言うには思い上がりが過ぎるだろう。

 ソーシャルビジネスの最終目標は、そのサービスが不要になる社会を作り上げることだ。

 不要になるとは、社会起業家が手掛け続けなくても、全国に同様のサービスが根付いたり、政治が行政に予算をつけるなどの成果によって、その社会的課題が減ったり、解決しやすくなったりすることだ。

 それでこそ、社会を変える仕事になる。

 だからこそ、当事者ニーズを明確にし、的確に把握し、成功事例を広報することで、より多くの市民に共感できる商品やサービスを社会起業家の皆さんに開発してほしいし、「みんなが真似できる解決方法」をどんどん開陳していってほしいと願う次第だ。

 これからソーシャルビジネスを始めたい若者たちへ。

 自分がすべきことに悩んだら、一人の頭の中であれこれ考えず、真っ先に自分が救いたい当事者に教えてもらいなさい。

 当事者こそが、ソーシャルビジネスにとって至高のメンター(指導者)だから。